徴用工問題の仲裁委員会設置に応じなかった韓国が「恣意的に設定された期限」と条約の内容を無視した詭弁で逆ギレ

 NHK によりますと、徴用工問題で日本が仲裁委員会の設置を要求していた件に対し、韓国が期日までに委員を指名しなかったとのことです。

画像:韓国側の言い分だけをそのまま報じるNHK

 韓国は「日本が恣意的に設定した期日」と批判していますが、この主張は的外れです。なぜなら、期日は日韓基本条約の中で明記されており、それに言及することが “報道機関” の役目と言えるでしょう。

 

 太平洋戦争中の「徴用」をめぐる問題では、日本政府が日韓請求権協定に基づいて第三国を交えた仲裁委員会の開催を韓国政府に求め、18日が、委員を指名するための第三国を選定する最終期限でした。

 しかし、韓国外務省の報道官は、「日本が一方的かつ恣意的(しいてき)に設定した日付だ」と述べるにとどまり、結局、韓国側は仲裁委員会の開催に応じませんでした。

 

仲裁委員会の設置期限は『日韓基本条約の請求権および経済協力協定』に明記されている

 韓国外務省は「日本が一方的かつ恣意的に期日を設定した」と不満を表明していますが、これは明確な誤りです。なぜなら、設置期限は日韓基本条約の中で言及(PDF)されているからです。

  • 第三条
    1. この協定の解釈及び実施に関する両締約国の紛争は、まず、外交上の経路を通じて解決するものとする。
    2. 1の規定により解決することができなかつた紛争は、いずれか一方の締約国の政府が他方の締約国の政府から紛争の仲裁を 要請する公文を受領した日から三十日の期間内に各締約国政府が任命する各一人の仲裁委員と、こうして選定された二人の 仲裁委員が当該期間の後の三十日の期間内に合意する第三の仲裁委員又は当該期間内にその二人の仲裁委員が合意する第三国 の政府が指名する第三の仲裁委員との三人の仲裁委員からなる仲裁委員会に決定のため付託するものとする。 ただし、第三の仲裁委員は、両締約国のうちいずれかの国民であつてはならない。
    3. いずれか一方の締約国の政府が当該期間内に仲裁委員を任命しなかつたとき、又は第三の仲裁委員若しくは第三国に ついて当該期間内に合意されなかつたときは、仲裁委員会は、両締約国政府のそれぞれが三十日の期間内に選定する国の政府が 指名する各一人の仲裁委員とそれらの政府が協議により決定する第三国の政府が指名する第三の仲裁委員をもつて構成される ものとする。
    4. 両締約国政府は、この条の規定に基づく仲裁委員会の決定に服するものとする。

 韓国は請求権協定で決めれた手続きを無視した上で、「日本が恣意的に期日を設けた」と難癖を付けているのです。メディアはこの点を指摘しなければ、韓国の片棒を担ぐ結果になると言わざるを得ないでしょう。

 

日本政府が徴用工問題で韓国政府に対して行った対応の時系列

 なお、徴用工問題で日本政府が韓国政府に対して行った対応の時系列は下表のとおりです。

2019年1月 日本政府が韓国政府に『2国間協定』を要請
→ 請求権協定第3条1項に該当
2019年5月 日本政府が請求権協定に基づく『仲裁委員会の設置』を5月20日に要請
→ 請求権協定第3条2項に該当
2019年6月 韓国政府は仲裁委員の指名に応じず、期日である6月18日を経過
翌19日に日本政府が『第三国による仲裁委の設置』を韓国政府に要請
→ 請求権協定第3条3項に該当
2019年7月 韓国政府が『第三国による仲裁委の設置』にも応じず、期日である7月18日を過ぎる

 日本政府の対応は請求権協定に則って行われており、韓国外務省による「一方的かつ恣意的に設定した日付」との主張をそのまま報じるようでは “韓国政府の協力者” と変わりありません。

 「韓国サイドの矛盾点を指摘し、記事の中で両論併記を行っていること」がメディアとしての最低限の責務と言えるのではないでしょうか。