香港での抗議活動が国際空港で行われたことで欠航便が相次ぎ、経済への影響が懸念される状況となる
NHK によりますと、身柄引き渡し条例案の撤回や警察の対応への抗議を訴える香港の若者たちが国際空港で座り込みを行い、欠航便が発生する事態になっているとのことです。
交通網がストップすることで、旅行客など経済にも影響が生じます。当局に「経済に悪影響を与える行為は容認できない」との取り締まり理由を与えることにもなるだけに、予断を許さない状況になっていると言えるでしょう。
香港では、容疑者の身柄を中国本土にも引き渡せるようにする条例の改正案の完全な撤回や、警察の対応への抗議の意思を示そうと、13日も多くの若者たちが国際空港で座り込みを行いました。
このうち出発ロビーでは、保安検査場の入り口の前の通路が占拠され、夕方以降、搭乗手続きができない状態が続きました。
14日未明には座り込みをする人も減り、搭乗手続きが再開されましたが、14日も機材繰りなどの影響で香港を発着するおよそ100便が欠航を決めています。
情勢は緊張し、香港の行政当局がどう対処するかが鍵
香港情勢の緊張が高まっていることは事実でしょう。抗議活動を行うデモ隊は「身柄引き渡し条例案の完全撤回」を要求していましたが、現在では「警察の取り締まり対応への抗議」の目的も含まれています。
事態を収束させるには香港当局が「身柄引き渡し条例案の完全撤回」を実施することが現実的です。
ただ、「当局の発表をデモ参加者が信用するか」という疑問があるため、混乱は長引く可能性があるとの認識を持っておく必要があると言えるでしょう。
「(多少の)衝突が起きても排除を優先する」との方針は現状では採りにくい
空港機能が麻痺した状態が続くなら、当局が「経済活動に悪影響が出ている」と主張できるようになります。これはデモ隊を排除する大義名分になる訳ですから、警察が動くことへのハードルは下がっていると言えます。
しかし、ネット経由で “強引な排除に動く香港警察” を発信されてしまいますから、「動かなければならない理由」が存在するかが焦点です。
「香港から出国できない外国人が多数発生している」なら、「デモ隊を空港施設内から排除」すれば空港機能は維持できます。そのため、当局が合理的な線引きを行い、 “事前に定めて公表したライン” を超えた抗議者を排除できるかが注目点です。
現状ではアメリカやイギリスが「平和的解決」を要求しており、排除による解決を選択することは難しいと考えられます。
金融センターとしての顔を持つ香港経済の混乱による余波は軽視できない
香港は金融センターという一面も持っているため、混乱が長引くことによる “余波” は軽視できません。なぜなら、香港から資金が逃避すれば、それによるマイナスが周辺国や世界で起きると考えられるからです。
アメリカと中国の「貿易戦争」が本格的になろうとしている中で、香港で “別の経済減速要因” が発生することを歓迎する国はないでしょう。
日本としては『香港が持つ金融センターとしての機能』を可能な限り吸収したいところです。ただ、そのためには税制面などの魅力度が高いことが重要になります。
中国政府が香港を飲み込もうとする動きを活発にしているのですから、『極東アジアの金融センター』の “受け皿” となる準備をすることは経済戦略として検討の価値はあるはずです。
また、それに合わせて「香港のような英語も一般的に使える都市にする」との目標を掲げることも可能です。香港のような『都市国家型の経済』を日本の国内に生み出せると、新たな成長基盤になり得ると言えるのではないでしょうか。