立憲民主党・塩村あやか議員が「韓国がフッ化水素の国産化に成功」のニュースで日本政府を批判し、経済問題に疎いことを示す

 立憲民主党の塩村あやか参院議員が自身のツイッターに「韓国がフッ化水素の国産化に成功したニュース」を投稿し、輸出管理を強化した日本政府の対応を批判しています。

 ただ、元ネタのニュース自体が古いものですし、韓国が(フッ化水素の)純国産化に成功したというものではありません。また、成功する見込みがあるなら、韓国政府が日本に「輸出管理強化の撤回」を要求することも起こり得ないと言えるでしょう。

 

塩村あやか議員のツイート

 塩村議員が自身のツイッター・アカウントに投稿したのは以下の内容です。

画像:塩村あやか議員のツイート

 まず、塩村議員が引用したニュースは10月15日に配信されたもので、ツイートの2週間前に発表されたニュースです。したがって、この時点で情報の “鮮度” が疑問視されるレベルと言えるでしょう。

 しかし、経済という観点から注目しなければならないのは「なぜ韓国は国産化することができなかったのか」という点です。韓国が心理的に嫌う日本(の企業)に自社の命運を握られる状況が続いていたのですから、その理由を把握できなければ意味がありません。

 塩村議員はこの視点が完全に欠落していると言わざるを得ないでしょう。

 

「 “死の谷” を超えるために多額の予算を投じるより、日本企業から購入した方が合理的」という現実

 日本政府の批判を込める形でツイートをした塩村議員ですが、その主張に誤りがあることは日経新聞が報じた記事から明らかです。

 国産化はなぜ進まないのか。「品質、価格、納期。すべてを満たしているのが日本だからだ」。

 韓国の電機大手幹部の説明は明快だ。「韓国企業もつくろうと思えば、何とかつくれる。ただ歩留まりが悪かったり、割高になったりして、採用は難しい。価格や納期も品質のうちだ」

 要するに、「企業にとって重要な採算性を満たすフッ化水素は日本製」という現実があるのです。

 「LG が国産化に成功した」というのは低純度のフッ化水素を用いる『エッチングガス』で、原料は日本から輸入しています。つまり、「韓国で最終加工したから国産」と主張しているに過ぎず、従来よりも余分なコストがかかるという皮肉な状況になっているのです。

 韓国の現状は『低純度のフッ化水素』でさえ、(採算性の問題から)日本からの輸入に頼っているのです。製品化するには『低純度のフッ化水素』で “死の谷” を1回、『高純度のフッ化水素』で “死の谷” をさらに(最低でも)1回は超えなければなりません。

 「韓国企業は開発・研究に多額の資金を投じている」とのデータを出した反論はありますが、“自社の主力製品に不可欠な物質” を他社に握られたままで放置していることは経営的な大問題です。この事実を認識する必要があると言えるでしょう。

 

フッ化水素などを国産化できるなら、日本の輸出管理強化は韓国にとって渡りに船

 また、塩村議員が「韓国政府が何度も輸出管理強化の撤回を要求していること」を都合良く見落としすぎです。

 韓国がフッ化水素などの国産化ができるなら、日本の輸出管理強化は「渡りに船」です。なぜなら、日本からの製品輸入のハードルが上がるため、韓国市場での競争力を失われることになるからです。

 しかし、韓国政府は一貫して「日本は輸出管理の強化を撤回しろ」と言い続けているのです。これは「韓国国内で代替製品を確保することができていない」と言っていることと同じです。

 リスク国は日本ではなく、条約を無視した判決を平気で下す韓国です。

 採算性の観点が欠落している政治家は経済政策で非現実な内容を平気で打ち出すことでしょう。間違いに気づいて提案内容を速やかに修正していれば良いのですが、指摘を無視して突っ走る政治家は経済に大きな悪影響を及ぼす可能性が高いと言わざるを得ません。塩村議員も “経済を落ち込ませるタイプ” と言えるのではないでしょうか。