予想された攻撃パターンでベネズエラ代表に完敗したサッカー日本代表の現在地は楽観視できるものではない
11月19日に大阪のパナソニック・スタジアム吹田で行われたサッカー親善試合で日本代表はベネズエラ代表に 1-4 で大敗を喫しました。
ベネズエラ代表の攻撃パターンは予想された形だっただけに、森保監督がどのような戦術で試合に臨んだのかは問い質されるべきでしょう。なぜなら、サッカー好きであれば、予想することができた攻撃で大量失点を喫してしまったからです。
「サロモン・ロンドンをどう抑えるか」が課題の1つであることは明らかだった
来年3月から「カタールW杯に向けた南米予選」が始まるベネズエラ代表は日本代表との試合が「最後の教科試合」でした。最終チェックの意味合いもあり、ベストメンバーで試合を迎えることはメンバー発表の時点で予想できたことと言えるでしょう。
スポーツジャーナリストの河治良幸氏も『フットボール・チャンネル』に以下の主張を寄稿していました。
何れにしてもベネズエラの攻撃を跳ね返せるかどうかはロンドンを封じることができるかにかかっている。ロンドンにおさまらないと、マチスやソテルド、ムリージョといったスピードとテクニックに優れる2列目やサイドのアタッカーも推進力を発揮できないので、植田を主軸としてどういう組み合わせになるのか、そしてパフォーマンスは今後の競争をさらに活性化する意味でも注目のポジションだ。
少なくとも、「出場が予想されるサロモン・ロンドン選手をどのように封じるか」はチームとして対応策を持っていなければならないことは明白でした。
ロンドン選手は日本代表の経験を持つ武藤嘉紀選手をニューカッスルでベンチに追いやった実力者です。最も警戒しなければならない相手選手に “十分な仕事” を許したのですから、選手の実力だけでなく、監督が準備したゲームプランも問われるべきと言えるでしょう。
ターゲットマンに自由なプレーを許すようでは勝負にならない
屈強な身体能力を持つ FW がチームされているのはポストプレーなどで “ターゲットマン” になることでしょう。具体的には以下の仕事が期待されます。
- センターバックの近くを基本ポジションとして陣取る
- ボランチの背後で縦パスを受け、タッチライン際で待つ味方に展開
- 味方選手がサイドで持ち上がっている間にペナルティーエリア内に侵入
- ファーサイドで(サイドバックに)高さ勝負を挑む
いずれも基本的な仕事ですが、これらを自由にされるとシュートにまで持ち込まれる可能性が高くなります。
日本代表はベネズエラ代表にサイドバックを狙い撃ちにされ、守備で後手に回り続けました。「サイドバックが高さに強みを持つロンドン選手に空中戦に挑まれること」は試合前に想定されたことですし、その対策が皆無に近い状態だったことは批判の対象と言わざるを得ないでしょう。
「クロスを1本も許さない守備」は不可能という現実
1失点目では「右サイドバックの室屋選手がクロスを許さなければ防げた」と考える人もいると思われます。しかし、クロスを1本も許さない守備を90分続けることは不可能ですから、クロスをペナルティーエリア内に入れられた後の守備は重要です。
この部分が全く機能しておらず、ベネズエラ代表の攻撃陣に振り回され続けたのですから、森保監督がチームにどのような指示を与えて試合に臨んでいたのかは明らかにされるべきでしょう。
日本代表は「相手の攻撃を防いだり、ボールを奪う」という守備の部分で意思統一されている様子はありませんでした。チームとしての守備を構築する責任は森保監督にありますし、守備が瓦解した責任は問われなければなりません。
フィジカル的に優位である相手選手を封じる術をチームとして何もできなかったことは致命的です。アジアで通用することに満足していてはW杯でベスト8に入ることは困難でしょう。
ベネズエラ代表に完敗した現実を直視し、戦術面でも向上させる必要があると言えるのではないでしょうか。