自民・秋元司衆院議員が収賄容疑で逮捕も、野党の追求トーンは普段と比較して影を潜める

 IR (統合型リゾート施設)などを担当する国交省の副大臣を務めた経歴を持つ自民党・秋元司衆議院議員が収賄の容疑で東京地検特捜部に逮捕されたと NHK が伝えています。

 汚職問題が浮上したのですから、“疑惑” をでっち上げてまで騒ぐ野党にとっては「格好のネタ」であるはずです。しかし、批判や追求のトーンが異様なほどに小さく、野党の姿勢も批判の対象になり得る状況となっています。

 

 カジノを含むIR・統合型リゾート施設などを担当する国土交通省や内閣府の副大臣を務めていた自民党の秋元司衆議院議員がIRへの参入を目指していた中国企業から現金300万円などの賄賂を受け取っていた疑いがあるとして東京地検特捜部に収賄の疑いで逮捕されました。

 (中略)

 また中国・深※センに本社がありスポーツくじなどの事業を手がける「500ドットコム」の顧問の紺野昌彦容疑者(48)と仲里勝憲容疑者(47)、それに日本法人の元取締役の鄭希容疑者(37)の3人が、贈賄の疑いで逮捕されました。

 

「逮捕=有罪」ではないし、現時点で「有罪を前提とした批判」をするのは時期尚早

 まず、中国企業『500.com』から賄賂を受け取った収賄容疑で東京地検特捜部に逮捕された秋元議員ですが、有罪と決まった訳ではありません。つまり、現時点で秋元議員を有罪と見なして批判をするのは時期尚早なのです。

 したがって、逮捕された現段階では「批判」を自重することは『人権』の観点からは適切と言えるでしょう。

 ただ、野党には「逮捕すらされていない事案」を疑惑と大騒ぎし、政権批判を展開してきた事例が多数存在します。そのため、「それらの事案」と「秋元議員の収賄容疑」との対応に整合性を持たせる必要があるため、“野党の立場” を表明する責務があります。

 もちろん、野党とともに「疑惑」で大騒ぎしてきたマスコミも同様です。中国企業という野党やマスコミのスポンサーであることが疑われる組織との癒着問題が発覚したのですから、どういった姿勢で臨むのかが見られていると言えるでしょう。

 

「小選挙区当選(の秋元議員)」と「比例区当選(の初鹿議員)」では『離党届』が提出された際に党に要求される項目が異なる

 自民・秋元議員の疑惑(収賄)も、立憲・初鹿議員の疑惑(強制わいせつ)も、世間一般からの批判の対象となるものでしょう。なぜなら、一般企業の基準で懲戒になり得るレベルの問題を起こしているからです。

 それもあり、両議員ともに所属政党に対して離党届を提出。どちらも受理されました。

 両議員の容疑は「司法の場での判断待ち」ですから、逮捕や書類送検を理由に議員辞職を要求するのは性急であることを否定できません。したがって、離党届の提出を受けた所属政党の対応が適切かを見る必要があるでしょう。

 秋元議員の所属政党である自民党は秋元議員に議員辞職を迫ることはできません。なぜなら、秋元議員は東京15区から小選挙区で当選しており、「議員辞職に値するか」の判断は “東京15区の有権者” が「次回の総選挙」で審判を下すべきものだからです。

 一方で初鹿議員は比例区当選です。したがって、こちらは立憲民主党が「党の理念を体現する政治家ではない」と判断したのであれば、初鹿議員に議員辞職を勧告し、比例名簿の次点に記されている候補者に議席を与えるべき立場にあります。

 疑惑で大騒ぎした野党が「初鹿議員の疑惑」を沈黙し、「比例選出の議員からの離党届」を容認したことは党として不味い対応を続ける結果になってしまっています。この部分の整合性を問われることは避けられないのですから、党執行部の姿勢そのものが問題視されることになるでしょう。

 

「外国からの献金」を問題視すると菅直人・元首相の件が蒸し返されるし、『中国案件』で返り血の浴びたくない野党は沈黙するだろう

 今回の秋元司議員の収賄問題ですが、野党や一部マスコミは積極的には騒がないと思われます。なぜなら、ブーメランや返り血を浴びる可能性が高いからです。

 秋元議員は「中国企業からの収賄」が疑われていますが、立憲民主党の顧問を務める菅直人・元首相は「北朝鮮がらみの資金疑惑」で窮地に立たされていました。これを有耶無耶にして衆議院議員に居座っているのですから、下手に突くと立憲民主党へのブーメランになるでしょう。

 また、秋元議員に賄賂を渡していた容疑を持たれているのは『中国企業』です。

 この企業の狙いは「中国人に人気の観光地に自分たちが手がける IR を進出させて儲けること」です。企業目的は極めて妥当で合理的と言えるでしょう。ですから、北海道と沖縄をターゲットにし、進出に向けた活動をしていました。

 しかし、秋元議員が事実上失脚したことで中国企業が「日本国内の IR 案件」を手にする確率は潰えたも同然です。IR は統合型リゾート施設ですから、カジノ機能以外にも複数の事業者が絡む案件です。

 仮に「沖縄に『500.com』の関わる IR が認可され、琉球(と中国の結び付きを示す)文化を展示するための施設を併設(して離反工作を図る)」という青写真が描かれていたとすれば、このような計画はすべて “ご破算” となります。

 中国から “お叱り” を受けるのは目に見えているのですから、批判を自重する野党議員が続出しても不思議ではないと言えるでしょう。

 

 『桜を見る会』の疑惑とは比べものにならないスキャンダルですが、「追求者への報復」が現実的なリスクとして存在する疑惑をどれだけ批判・追求ができるかが問われている状況です。

 安全地帯からしか追求のできないマスコミや野党に存在価値はありません。秋元議員に浮上した疑惑が「氷山の一角」と考えることはできますし、他分野で別の議員に対して外国勢力が “工作” をしていることが発覚する可能性も否定できません。

 「IR 断固反対」の立場を採ってきた野党やマスコミが今回の疑惑をどのような形で追求して行くのかが大きな注目点と言えるのではないでしょうか。