昆虫食を推奨する国連、東アフリカでのバッタ大量発生による食糧不足への緊急資金支援を訴える

 エチオピア、ケニア、ソマリアなどでバッタが大量発生し、農作物が食い荒らされるなどの被害が拡大していることを受け、国連が緊急支援策への資金提供を各国に求めていると NHK が報じています。

 しかし、これは皮肉な状況です。なぜなら、国連は『昆虫食』を推奨しており、バッタも食糧になり得るからです。本末転倒と言わざるを得ないでしょう。

 

 東アフリカのエチオピア、ケニア、ソマリアでは、先月から害虫のサバクトビバッタが大量に発生し、農作物を食い荒らす被害が拡大しています。

 これを受けて国連で緊急援助を担当するローコック国連事務次長が10日、国連本部でFAO=国連食糧農業機関の幹部と会見し、冒頭、「3か国で1300万人が深刻な食糧不足に直面している」と指摘しました。

 (中略)

 国連は短期的な殺虫剤の散布や食糧支援といった緊急の支援策を打ちだしていますが、必要な資金7600万ドルのうち、2000万ドルしか集まっていないということで、ローコック事務次長は各国に早急な資金提供を求めました。

 

トノサマバッタに似たサバクトビバッタが大量で、農作物が食い荒らされて食糧難が発生

 東アフリカで深刻な食糧難が発生している理由は「サバクトビバッタが大量発生したから」です。サバクトビバッタはトノサマバッタと同じサイズで、草を食べる量も相当です。

 しかも、飛行距離が長く、大量発生すると周辺一帯の農場が(収穫前の)作物を食い荒らされて壊滅的な被害を受けるため、“厄介者” と見なされています。

 アフリカ大陸には『草原』が多く、背の高い草が少ない『草原』や『河原(砂地)』はバッタにとって理想的な産卵地です。また、草原に近くには『人間の食糧を生産するための耕作地』があるため、群れを維持するための大量の植物が存在しています。

 そうした環境に高気温・高降水量という気象条件が合わさると、蝗害が発生するのです。バッタの天敵となる動物がいなければ、発生した時点で農作物の収穫量に甚大な影響が出ることになるでしょう。

 

「食糧不足に備え、昆虫食をしよう」と呼びかける国連にとっては皮肉な状況

 国連は「食糧支援などの緊急支援」を実施するための資金提供を各国に求めていますが、これは皮肉な状況と言わざるを得ないでしょう。なぜなら、国連は『昆虫食』を呼びかけていたからです。

 人口増加が続き、農作物による食糧供給に限界があることを受けた国連は『昆虫食』を推奨しています。

 「家畜を飼育することと比較して手軽に良質なタンパク質を取得できる」との触れ込みで欧米リベラルが売り込みを図っているのですが、『バッタの大量発生』で致命的な欠陥が浮き彫りになりました。

 『昆虫食』が確立しているなら、バッタを捕獲して食糧にすれば良いだけです。そうすれば、食糧難にまで陥ることはないでしょう。しかし、実際はバッタを捕獲して駆逐することは非現実的で、農作物が壊滅的な打撃を受けたのです。

 『昆虫食』を推奨する国連が「蝗害による食糧難支援のための資金拠出」を要求することは反感を招くだけです。「国連が推奨する『昆虫食』のレシピを現地に届ければ良いのでは」との皮肉を言われることを甘受しなければならないでしょう。

 

成虫になる前に駆除する必要があるが、そのためには観測・行動ができる現地政権が必要

 バッタによる蝗害は「成虫になる前」でないと効果的に防ぐことはできません。要するに、孵化する前の卵の時点で駆除してしまうことが重要なのです。

 億単位で飛行するバッタを捕獲することは非現実的ですし、アフリカでバッタの襲来に耐えるための対策には多額の費用が必要となります。したがって、抜本的な対策が求められていると言えるでしょう。

 露地栽培をした方が少ない手間で多くの収穫量を期待できます。ただ、バッタによる蝗害という致命的な弱点があるため、政情不安の国があると発生の兆候が掴めなかったり、対策が後手に回る可能性があります。

 この場合は『野菜工場』などで生産できた方がリスクを分散することになります。「農作物の安定生産」が確保できなければ、工業国へとシフトすることも難しくなるのです。

 『支援』をすることは重要ですが、途上国が独り立ちするまでの “中継ぎ” であるべきです。成長プランが見えない国連の支援策に何の疑問もなく資金を拠出し続ける方針は変更しなければならないと言えるのではないでしょうか。