阪神・藤浪が2月9日の日本ハムとの練習試合で上々の投球内容を示し、復活に向けて好スタートを切る

 2月9日に阪神タイガースと日本ハムの練習試合が行われ、阪神の藤浪投手が2回を無安打無失点と上々の内容だったとデイリースポーツが報じています。

 制球面で大きな課題を抱えていたことを踏まえると、「まずまずの出来」と言えるはずです。改善点が残っていることは事実ですが、“オープン戦が始まる前の練習試合” なのです。この点を踏まえる必要があると言えるでしょう。

 

 阪神の藤浪晋太郎投手(25)が、日本ハムとの練習試合に先発した。2回を無安打無失点。2四球はあったが、際どいコースをボール判定されることもあり、抜け球はなく、課題としてきた制球面、リリースポイントも安定していた。

 

藤浪投手が2月9日に見せた投球内容への感想

 藤浪投手が2月9日に行われた日本ハムとの練習試合で見せた投球内容は以下のものでした。

  • 球種は「直球」と「スライダー」
  • “すっぽ抜け” と表現される「抜け球」はなく、引っかかったボールもなし
  • 直球の球速は 150km 超だが、全体として上ずっていた
  • 右打者は「外角低めの直球」が中心で、内角への要求はなし

 この試合に藤浪投手がどのような課題を持って臨んでいたかは語られていませんが、おそらくは「右打者の外角低め(= 左打者の内角低め)に直球を制球できるか」を課題にしていたと考えられます。

 ワン・ボーロン選手を見逃し三振に打ち取った直球は『コース』『高さ』『質』の3点で文句の付けようがなく、素晴らしいボールでした。この投球の再現率をどれだけ高めることができるかが今後の課題と言えるでしょう。

 

「外角一辺倒」では “怖さ” はないし、直球の制球にも改善の余地がある

 9日の藤浪投手の投球内容に対し、スポーツ紙が取り上げる野球評論家からは「 “怖さ” がない」や「1軍では厳しい」との声が出ています。

 確かに、この指摘は的確なものです。しかし、2月前半のコンディションがシーズン中と同じというプロ野球選手がいないことも事実です。そのため、藤浪投手が「どれだけの伸びしろを持っているか」が違いとなるでしょう。

 藤浪投手の投球に “怖さ” が感じないのは「『外角一辺倒の投球をする』と誰もが予想し、その通りになっているから」です。投球を高い確率で予想できれば、打者は決め打ちが可能になります。思い切ったスイングができるのですから、見ている側には「投手に “怖さ” がない」と映るのです。

 『怖さ』を出すには「どこに来るか分からない」とすれば良いのです。その1つが「荒れ球」であり、もう1つが「制球力」です。

 9日に藤浪投手が投じた直球は全体的に上ずっていました。ただ、“指にかかったボール” を投げることはできていたため、『コース』や『高さ』を狙って投げ切ることで “怖さ” は自然と出てくることでしょう。そのため、藤浪投手の現状にあまり注文を付ける必要はないと言えるでしょう。

 

次の注目点は「藤浪投手が要求された右打者の内角に投げ切れるか」

 藤浪投手が「右打者の外角低め(=左打者の内角低め)」に直球を投げ切れることを9日の練習試合で示したのですから、第一関門は突破したと言えるでしょう。したがって、次の課題に取り組むことになります。

 『第二関門に設定した課題』が何であるかは藤浪投手(とコーチ陣)のトップシークレットですが、「右打者の内角(=左打者の外角)に直球を投げ切ってストライクを取れるか」は遅かれ早かれ要求されるはずです。

 ただ、150km 超の直球を投げられる藤浪投手の場合は「右打者のインコースでボールを出し入れするコントロールは不要」です。ストライクと判定される “内寄りの直球” があるだけで右打者は(外角を打つための)踏み込みが難しくなり、投手有利となるからです。

 「内・外角への投げ分け」は『オープン戦での課題』としても問題はない訳ですし、藤浪投手は「新しい投球フォーム」を習得して復活しようとしている段階なのです。

 成長を続けていれば順調と言えますし、課題を解決するには時間がかかるのが当たり前です。「開幕戦の1週間前の段階で藤浪投手がどのような投球内容をしているか」という中・長期的な視点で復活を見守ることが重要と言えるのではないでしょうか。