韓国の与党『共に民主党』が4月の総選挙に “慰安婦団体のトップ” を当選圏内で擁立し、日本への姿勢を鮮明にする

 韓国の聯合ニュースによりますと、与党・『共に民主党』陣営が4月に行われる総選挙の比例代表として慰安婦団体のユン・ミヒャン(尹美香)理事長を擁立したとのことです。

 17議席の獲得が見込まれる政党で「比例順位7位」に掲載されたのですから、“メッセージ” の内容は明らかと言えるでしょう。したがって、韓国の宣戦布告への対応を否応なしにする必要があると言えるはずです。

 

 4月15日に実施される韓国の総選挙に向け、与党「共に民主党」が参加する与党陣営の連合比例政党「共に市民党」は23日、比例代表候補34人の名簿と順位を発表した。(中略)

 市民団体「正義記憶連帯」の尹美香(ユン・ミヒャン)理事長(順位7位)が含まれた。共に市民党は総選挙で約17議席を獲得するとみられている。

 

『準連動型比例代表制』が導入されたため、“衛星政党” の発生が予想される中での総選挙

 2020年4月に韓国で総選挙で行われますが、今回の選挙から『準連動型比例代表制』が導入されたことが大きな変更点です。

 準連動型比例代表制は、小選挙区の獲得議席数が政党得票率に及ばない場合、比例代表の議席を通じて政党得票率に見合った総議席数を保証するもので、少数政党に有利との見方が多い。このため来年の総選挙で国会の勢力図が変化することが予想される。

 要するに、“小選挙区で議席を獲得できない政党” を『政党得票率』で救済するというものです。

 政党得票率が 10% なら、定数100の比例区では10議席が割り当てられます。しかし、定数100の小選挙区で政党得票率が 10% でも10議席を得られる保障はありません。ほとんどの選挙区で落選するでしょう。

 そのため、「民意を正しく反映していない」から『政党得票率によって配分される比例区』とは別に『小選挙区と比例区を合算した議席数が正しくなる議席配分』に左派系の少数政党が飛びついて法案が成立することになったのです。

 

既存政党は(比例代表で)不利になるが、衛星政党を立ち上げればダメージを最小限に抑えられる

 韓国の総選挙は「小選挙区」と「政党得票率によって割り当てられる比例区」で行われていましたから、新制度によって不利益を被るのは与党『共に民主党』と野党第1党『自由韓国党』です。

 なぜ、与党である『共に民主党』がこのような制度変更を強行したのかと言いますと、『自由韓国党』の方がダメージが大きいからです。今回の選挙で議会の多数派を『自由韓国党』など保守系が占める事態になると、ムン・ジェイン大統領の失脚は不可避です。

 だから、保守系が多数派となる6割の議席を占めることがほぼ不可能な選挙制度に改正し、左派系の少数政党から賛成を引き出すために選挙制度を強引に変えたのです。

 その上で『共に民主党』と歩調を合わせる『共に市民党』を発足。比例選挙用に発足させた政党の当選圏内に慰安婦団体の理事長を擁立したのです。

 ムン・ジェイン政権は「慰安婦問題を前面に出す」と宣言したに等しいのですから、韓国に対して甘い顔をしたところで(日本側に)メリットがないことを改めて学習する必要があると言えるでしょう。

 

韓国は『日本との通貨スワップ』を求めているが、応じることがあってはならない

 韓国政府は「日本と『通貨スワップ』を結んで経済を安定させるべき」との提案をしていますが、日本側に応じるメリットは皆無です。

 (日本との)『通貨スワップ』があれば、韓国は「ウォン安」を意図的に維持することが可能です。投機筋が「ウォン売り」を浴びせる可能性はありますが、『通貨スワップ』で得たドルを使った「ウォン買い」をされると投機筋が大損をするため、その可能性をゼロにできるからです。

 そうなると、韓国と産業構造が似ている日本が致命的な痛手を負うことになります。なぜなら、「ウォン安」であるほど韓国企業は海外市場での競争力が増す一方で、日本企業の競争力は相対的に低下するからです。

 つまり、韓国からすれば、日本が『通貨スワップ』に応じることのメリットは非常に大きいのです。資源の購入に支障が出ない「ウォン安」を維持し、日本企業と日本経済が立ち直れないレベルのダメージを負わせることが可能になるからです。

 韓国にとっては「2011年秋から(約1年間)の状況」が “この世の春” と言える状態だったのですから、その時と同様に『通貨スワップ』を締結する大きな意義があるのは当たり前です。

 一方で日本は大損害を受けたのです。わずか10年前の失敗を猛省し、同じ失敗を繰り返さないことが重要と言えるのではないでしょうか。