4月15日に総選挙を控える韓国でも「自粛疲れ」で3月最終週から人手が回復してしまい、危険な兆候が出始める

 朝鮮日報によりますと、政府・自治体からの「社会的距離(social distance)の確保政策」に疲れて限界を感じた韓国の市民が外出を活発にしているとのことです。

 医療崩壊を起こしたテグ(大邱)での新規感染者が大きく減少したため、「医療制度の連鎖崩壊を封じ込めた」と言えるでしょう。しかし、ソウルなど首都圏近郊での感染者は徐々に増えている状況なのです。

 “2週間後の(4月15日前後の)韓国” が今の日本と同じ状況になっている可能性は十分にあり得ると言えるでしょう。

 

 京畿道竜仁市にある韓国有数のテーマパーク「エバーランド」は1日午後、700台収容の駐車場が満車だった。平日にもかかわらず「サファリワールド」などの人気アトラクションは1時間待ちとなった。順番を待つ来場客の間隔を空けるため、地面には黄色い足跡のマークのステッカーが張られていたが、守る人はほとんどいなかった。(中略)

 京畿道果川市のソウル大公園動物園にも2000人を超える観光客が詰めかけた。今月初めまでは平日の観光客が500人程度だったが、先週は1800人へと3倍以上に増えた。(中略)

 政府と地方自治体のソーシャルディスタンス(社会的距離)を取る政策が2カ月に及び、それに疲れて我慢の限界を感じた市民らがうららかな春を迎え、先を争うように外出している。野外が混み合う中、新型コロナウイルスへの感染リスクが高い室内空間にまで客が押し寄せている。(中略)

 仁川空港に近い仁川市中区の乙旺里海水浴場も最近、海風に吹かれようとする人々が詰めかけ、海辺だけでなく、周辺のカフェや刺身料理店も混み合っている。一部市民が「仁川市や中区庁は規制措置を取るべきではないか」と言いだすほどだ。

 

「3月の3連休を前に油断した日本」の “失敗” をなぞる可能性が大きい

 自粛などの形で我慢を強いられ続ければ、いずれ限界に達します。日本ではそれが「3月の3連休」を前に達してしまい、街中を行き交う人々が増えたことで感染者が急増する結果を “2週間後” に招くことになりました。

 韓国も医療崩壊が起きたテグ(大邱)を除けば、住民が置かれている環境は日本と大差はありません。最大の違いは「『防疫』を理由に感染者の個人情報が有無を言わせずに開示されること」でしょう。

 その韓国でも3月下旬には市民の我慢が限界に達し、テーマパークなどを訪れる人が急増しています。

 外出することは問題ではありませんが、感染のリスクが高い場所は避けなければなりません。屋外で風景を楽しむならともかく、屋内の密閉空間まで人が押しかけて混み合う状況は危険な兆候と言わざるを得ないでしょう。

 

「4月12日(日)以降からの感染者急増」が懸念されるが、韓国は15日に総選挙を控えている

 ちなみに韓国では4月15日(水)に議会総選挙が行われます。4月2日の木曜日から選挙期間が始まっており、危ない要素は複数存在する状況です。

 新型コロナウイルスの新規感染者が『発症者』として確認されるまでには約2週間の “時間的なズレ” があります。

 朝鮮日報が報じた「韓国国内で我慢が限界に達して外出した人々」の中から感染急増が確認されるのは4月12日(日)前後からになるでしょう。もちろん、この予測が絶対に発生するという保障はありません。

  • 2020年4月5日0時点での韓国国内の新型コロナウイルス感染者数
    • ソウル特別区
      • 陽性反応者: 552 (+24)
      • 患者: 407 (+23)
      • 死者: 0
      • 退院者: 145 (+1)
    • キョンギ(京畿)道
      • 陽性反応者: 572 (+10)
      • 患者: 357 (+1)
      • 死者: 7 (+1)
      • 退院者: 208 (+8)
    • インチョン(仁川)
      • 陽性反応者: 79 (+2)
      • 患者: 54 (-1)
      • 死者: 0
      • 退院者: 25 (+3)

 ただ、「感染者の急増は起きない」と言える根拠もないことは事実です。特にソウル首都圏での感染確認者は「(日本と同じように)一定ペースで増加」していたため、総選挙の投開票日の直前に感染爆発が起きる可能性も否定できません

 この部分は経過観察をする意味があると言えるでしょう。

 

懸念が杞憂に終わる保証はない

 新型コロナウイルスの場合は「勝手に感染して(軽症だった等の理由で)医療リソースを消耗することなく、他人に感染させずに勝手に治癒してくれること」が理想的です。

 「体調が優れないなら家に居ろ」がどの国でも採用している方針ですが、それを聞き入れない人々が多いほど感染拡大は止まらないでしょう。ただし、軽症者が増える分については許容できる部分があることも事実です。

 医療機関での治療が不可避である重症者の数が急増してしまうと、(軽症者を医療機関以外に隔離していたとしても)病床不足によって医療崩壊が発生してしまう恐れがあります。

 しかし、軽症者が医療機関の病床を占有していることで重症者や(新型コロナウイルス以外の)急患者を受け入れらないことも『医療崩壊』であり、これが韓国・テグ(大邱)で起きたことなのです。

 同じことがソウルや日本でも起きない保証はありません。特に日本は “バカな芸能人” が騒いで首都圏をテグ(大邱)と似た状況に持ち込んでいるのですから、医療崩壊は現実味を帯びていると言わざるを得ないでしょう。

 

 日韓両国ともに相手国での失敗を反面教師とすれば、自国での新型コロナウイルスによる被害を最小限にすることが可能です。それを実施する判断力と実行力がトップに備わっているかが問われていると言えるのではないでしょうか。