“元助役” に牛耳られた関西電力、今度は筆頭株主から「 “元市長” に経営方針を牛耳らせろ」と恫喝される

 共同通信によりますと、関西電力の筆頭株主である大阪市の松井市長が「社外取締役に橋下徹氏を推薦する」と述べ、「 “納得できる理由” がない場合は株主代表訴訟に踏み切る」とも語ったとのことです。

 自治体が総会屋まがいのことをしている時点で問題です。そもそも論として、過去に橋下氏が掲げたエネルギー政策は「致命的な失敗」だった訳です。

 そのような人物が社外取締役に就任してしまうと、関西圏の経済状況は現状よりも悪化することは避けられないと言わざるを得ないでしょう。

 

 関西電力役員らによる金品受領問題を巡り、筆頭株主である大阪市の松井一郎市長は17日、同社の社外取締役に橋下徹元市長を推薦したと明らかにした。橋下氏は了承しているという。松井氏は、関電が納得できる理由を示さず断った場合、株主代表訴訟に踏み切る可能性を示唆した。市役所で記者団に語った。

 

維新の “黒歴史” である『大阪府市エネルギー戦略会議』

 大阪維新の会を批判したいのなら、彼らの “黒歴史” である『大阪府市エネルギー戦略会議』のことを持ち出せば済むことです。

 維新は東日本大震災後に「放射能パニック」を罹患し、『反原発・再生可能エネ推進』を掲げて「埋蔵電力はある」と啖呵を切り、(「ない」と説明する関電を振り切って)調査を開始しました。

 調査結果は約1年後に出たのですが、結果は「関西電力が説明していた資料どおりでした」という維新や戦略会議のメンバーにとっては「メンツが丸潰れとなる現実」を突きつけられたのです。

 当の橋下氏は「府市エネルギー戦略会議は間違いだった」とは言っていますが、『府市エネルギー戦略会議が掲げた方針』によって生じた損失を解決するためには動いていません。

 戦略会議のメンバーである大島堅一氏(立命大教授)や河合弘之氏(弁護士)は未だに『反原発』の最前線で活動中です。彼らと共に「関西電力の資産を損ねる行為」に尽力した “元市長” が関電の社外取締役として経営に介入すれば、関西経済は一層落ち込むことになるでしょう。

 

「安価で安定した電力供給」が約束されていれば、製造業(≒ 雇用)がやって来る

 日本の政治家が軽視しているのは「安価で安定した電力供給が経済にもたらす効果」でしょう。

 昨今は『反原発・再生可能エネ推進』がトレンドと化していますが、この方針では「電気代高騰と供給の不安定化」は避けられません。原発停止による追加燃料費が年間3兆円、再生可能エネ買取額が年2兆円の計5兆円です。

 このハンデで背負って市場で外国企業との競争に勝つことはまず不可能です。そのため、国内から製造業が追い出される形となり、雇用が減少することになります。

 そうした状況でも人々が豊かな生活ができるのなら、『反原発・再生可能エネ推進』を継続すべきです。しかし、現実は “再生可能エネルギー事業者” が儲かるだけで、消費者は大損を強いられていることが現状です。

 本当に弱者の味方であるなら、全消費者に有無を言わさず割高な買取価格を強いる FIT の即時撤回に向けて動く必要があると言わざるを得ないでしょう。

 

「(需要と供給のバランスを取っていた)関西電力を倒すこと」の弊害を理解できていないのだろう

 関西電力や東京電力に代表される大手電力会社は『旧・一電(一般電気事業者)』の時代から圧倒的な存在感を発揮して来ました。そのため、「大手電力会社を解体することで市場に競争原理が働く」との考えが今でも根強いのでしょう。

 その意向が反映された結果が『電力自由化』です。

 ただ、『電力自由化』をした先に待ち受けていたのが「旧・一電の時代とは比較にならない “弱肉強食の世界” 」だったことは計算外でしょう。

 大手電力会社は「地域独占」と引き換えに「全域への電力供給義務」と「価格の上限」が設定されていました。しかし、『自由化』となれば、その責務から解放されます。

 発電と送電は分離されていますから、「発電事業者」は他社の顔色を伺う必要はありません。新電力は “自前の発電所” を保持しているケースは稀であり、現実世界の市場で真っ向勝負をした場合の結末は明らかと言えるでしょう。

 

 政治ができるのは「民間企業のための市場環境の整備」です。市場の規則を事前に規定し、違反する企業や個人に所定の罰則を科すことが役割であり、特定の事業への肩入れは自重しなければなりません。

 大阪維新が掲げたエネルギー戦略は消費者にとって経済的な恩恵が皆無なのです。その反省に基づく行動がされていないのですから、橋下徹氏を社外取締役に推薦する行為は総会屋と同じと言わざるを得ないのでしょうか。