民放連と日本新聞協会が「コロナ差別が起きないような報道を心がける」との共同声明を発表、「報道が原因」と自らの行動を省みるべき

 民放連が「日本新聞協会との『新型コロナウイルス感染症の差別・偏見問題に関する共同声明』を発表した」と報告しています。

 そもそも、新型コロナに対する差別・偏見が広まったのはマスコミ報道が原因なのです。メディアはワイドショーなどで “憶測を無責任に広めた側” なのですから、『共同声明』で事態を憂う前に『誤報・歪曲』で間違った認識を広めた責任を取るべきと言えるでしょう。

 

発表された共同声明

 民放連と新聞協会が発表した共同声明(PDF)の概要は以下のとおりです。

  • 感染者や医療従事者、エッセンシャルワーカーの方々に対する差別・偏見が大きな問題となっている
  • 新聞協会と民放連の加盟各社は、こうした差別・偏見、中傷は決して許されないとの考え方を共有している
  • 不当な人権侵害に対する追求や、SNS 等で拡散された疑わしい情報のチェックなどに取り組んできた
  • 今後より一層、差別・偏見がなくなる報道を心がけたい
  • 院内感染については医療関係者に正確・迅速な情報提供を求める
  • ウイルスの特性を読者や視聴者・リスナーにわかりやすく伝え、センセーショナルな報道にならないよう節度を持った取材と報道に努めていく

 要するに、不安を煽る報道姿勢が限界に達しつつあるから、方針転換を図る “言い訳” として『共同声明』を発表したに過ぎません。なぜなら、『共同声明』で触れられている問題は日本で感染が拡大しつつあった3月の時点で問題になっていたものばかりだからです。

 2月初旬に横浜港に寄港したクルーズ船『ダイヤモンド・プリセンス』での感染拡大の際に “センセーショナルな報道合戦” を繰り広げたマスコミ各社の発表した共同声明に大した意味はないと言わざるを得ないでしょう。

 

“ワイドショーが流した疑わしき情報” すらチェックしないマスコミの確認能力など評価に値しない

 新聞社やテレビ局は「自分たちの報道は 100% 正確であり、デマを流すのはネット」という価値観なのでしょう。だから、“疑わしき情報” が流れるのはインターネット上であるとの決めつけがあるのです。

 しかし、実際に『問題のある情報』を流しているのはテレビ局や新聞社などの既存メディアです。

 厚労省が公式ツイッターで問題を指摘しているテレビ朝日系列で放送されている『モーニングショー』が代表例です。“マスコミが” ワイドショーで不安を煽る報道を続ければ、視聴者は疑心暗鬼に陥りやすくなりますし、差別や偏見が根ざす土壌となります。

 一方で、ネット(の SNS など)は情報の発信が双方向ですから、デマや疑わしき情報には指摘が入っていることは可視化されています。したがって、情報の発信経路が一方通行である既存メディアほど、内容に対する確認は念入りに行われていなければなりません。

 それが全くと言って良いほどできていないのです。「差別や偏見がなくなる報道」は “やっていて当たり前” なのです。“心がける” では従来どおりの無責任な報道を続けると宣言しているに等しいことを自覚しなければならないでしょう。

 

「3月中旬には宣言しなければならなかった内容」を2ヶ月後の5月中旬にするほど、マスコミは “ぬるま湯” に浸かっている

 新型コロナウイルスに罹患した感染者への非難が起きたのは「3月上旬」でしょう。安倍首相の要請で学校が休校している最中にスペイン旅行に出かけて検疫を無視して沖縄に帰った家族の行動などが糾弾されていたからです。

 「感染したことは止むを得ないが、感染が疑われる症状・状況であるにも関わらずに起こした行動は批判される」などの方針をマスコミが率先して示していれば少しは “マシ” だったでしょう。

 しかし、そのような方針は現時点でも示されていません。マスコミは「一切の批判は許さない」と擁護するのですから、逆効果になるのは当たり前です。

 検疫を理由にした隔離を義務付ける法案や罰則はなく、法整備については「自由を損ねる」との理由でマスコミは反対します。また、検疫や隔離を無視した人物が引き起こした感染拡大によって損害賠償を請求されたとのニュースもありません。

 愛知県を中心に「俺はコロナだ」と叫んだ人物は逮捕や損害賠償による制裁を受けていますが、「検疫を軽視した人物に対する抑止力が機能している様子がないことを問題視すること」がマスコミ本来の責務と言えるでしょう。

 

 マスコミが自ら起こした報道合戦で儲けを得るためにセンセーショナルな煽り報道を続けたのです。自浄作用を働かせるのは最低限の責任でしょう。『共同声明』を出せば、過去の報道内容を総括する責任から回避できる現状は問題視されるべきなのではないでしょうか。