「支持候補を私かトランプかで迷うのは黒人ではない」とジョー・バイデン前大統領が大失言

 11月に行われるアメリカ大統領選挙に民主党候補者として出馬予定のジョー・バイデン前大統領が「私を支持するか、トランプ氏を支持するかで迷っているなら黒人ではない」との問題発言をしたと朝日新聞が報じています。

 明らかな失言ですが、この手の問題は「多様性を認める」と主張するリベラル陣営で散見されます。「女性候補・女性議員を支持できないなら女性ではない」との暴言を吐くフェミニストなどと変わりないレベルと言えるでしょう。

 

 11月の米大統領選の民主党候補者指名を確実にしているバイデン前副大統領は22日、黒人の若者に人気のラジオ番組に出演した際、米大統領選に関連し、「もしあなたが私を支持するか、トランプ氏を支持するか、迷っているのであれば、あなたは黒人ではない」と語った。人種によって投票先を選別する差別発言と受け取られかねない失言であり、バイデン氏は同日中に謝罪し、撤回した。

 

黒人の人気ラジオ・DJの番組で失言問題が発生した

 問題は人気ラジオ DJ シャーラメイン・ザ・ゴッド(Charlamagne tha God)が司会を務める番組にバイデン前大統領が出演した際に発生しました。

 バイデン氏は「オバマ政権時の副大統領」の経歴があり、黒人からの人気が高い部類の候補者です。また、黒人には民主党支持者が多く、支持政党を尋ねられた際に「肌の色が分かんねえのか?俺は民主党支持者だよ」と返答される場合もあります。

 こうした背景があったため、番組出演の最後になって "If you have a problem figuring out whether you're for me or Trump, then you ain't black" との『問題発言』が起きることになってしまったのでしょう。

 

事あるごとに「差別反対」や「多様性」を訴えていたリベラル派にとっては大失態

 バイデン氏の失言が地味に痛いのは「寛容を訴えるリベラル派は価値観に対して不寛容」とのキャンペーンに正当性を与えたことでしょう。

 リベラル派は「差別反対」や「多様性」を訴えて政治的な考えの違いから対立する保守派を批判しています。ただ、『リベラル派が認めた価値観』だけを押し付けており、「実際には多様性が損なわれている」との反論が少なからずありました。

 黒人であってもトランプ大統領や共和党を支持することは可能でなければなりませんし、それを公言したことで不利益を被ることがあってはならないでしょう。ところが、これは現実にはできていないのです。

 例えば、アメリカのアカデミア(≒ 学会)やハリウッドでは『民主党支持』がほとんどです。『共和党支持』もいるはずですが、公言すると迫害・排除の対象となるため、“隠れ支持者” に留まっています。

 つまり、『特定の政治勢力が認定する多様性』しか許されない業界がすでに存在していることは揺るぎない事実なのです。「『特定の政治勢力が認定する多様性』があなたの業界にも導入されて良いのか」とのキャンペーンに使える素材を提供した責任は重いと言わざるをえないでしょう。

 

「女性議員(や女性候補)を支持できないなら女性ではない」との暴言と同じ

 バンデン氏による問題発言に既視感を覚えた人がいるなら、「ツイフェミ」と揶揄される一部の人々が主張する “トンデモ言論” を見た記憶があるからでしょう。

  • マスコミが「日本は女性議員の数が少ない」と報道
  • ツイフェミが「だから日本は遅れてる」と批判
  • ネット民が以下の事実を根拠に反論
    • 有権者の多数派は女性
    • 与党の女性議員を率先して叩いているのはマスコミ
    • 野党の女性議員が印象を著しく低下させている
  • ツイフェミがネット民からの反論に逆ギレ
    → 例:女性議員を支持できないなら女性ではない

 “ある特定の属性を持つ人” が全員同じ政党を支持することはありません。なぜなら、立場は人によって異なるからです。

 『女性優先法』や『黒人優先法』が法案として提出されたなら、該当する属性を持つ “ほぼ全員” からの支持は得られるでしょう。しかし、そのような法案は提出されること自体が非現実的です。

 したがって、有権者と政治家が “共通の属性” を持つ関係であっても「全面支持」と「全面不支持」は発生しにくいのです。これが起こり得るのは「(多様性を認めていない)共産党」の場合でしょう。

 自分たちが政治的主張として掲げる『1丁目1番地の価値観』の意味を保守・リベラルに関係なく、認識し直すことは重要と言えるのではないでしょうか。