身元を隠蔽できる衣装が公共の場で認められなくなるのは自然な流れ

 主にイスラム教徒の女性が着用するブルカやニカブなどが公共の場で着用が認められなくなる動きがヨーロッパで進行しています。

 フランス、ベルギー、イタリアなど禁止されていましたが、新たにドイツでも禁止する法整備を進めていると朝日新聞が伝えています。比較的寛容と見られていたドイツでも、このような動きがあることはインパクトのあるニュースと言えるでしょう。

 

 ドイツのデメジエール内務相は19日会見し、イスラム教徒の女性が全身を覆い隠す「ブルカ」や、目だけを出して顔を覆う「ニカブ」の公共の場での着用を禁止する方針を明らかにした。今後、連立与党内で調整のうえ、法制化をはかる。7月に相次いだイスラム教徒の難民らによる襲撃事件を受けて、警戒感が強まっていた。

 

 安全対策については『性善説』ではなく、『性悪説』で対応する必要があります。ヨーロッパでブルカやニカブに対して、公共の場で着用が禁止されるのは「身元不明の人物が危険物を容易に隠すことができてしまう」ことが理由の1つと言えるでしょう。

 特に、本人確認が求められる場所で顔を隠すことが可能であれば、犯罪の温床になる可能性が高まります。

 例えば、日本では金融機関やコンビニエンスストアではフルフェイスのヘルメットの着用が禁止されました。これは強盗事件の際に身元が割れにくくする目的で悪用されたケースですが、ほぼ同じ効果をもたらすことができるブルカやニカブも規制の対象となるべきなのです。

 

 「“宗教” が根拠になっていれば、現地のあらゆるルールや習慣・マナーに適応する必要はない」という考えは衝突の火種を生み出すだけです。

 一部の人権派は「(マイノリティーである)イスラム教徒の人権に配慮すべき」と主張するケースがありますが、逆にイスラム教徒は諸外国の文化に配慮しているでしょうか。アルコール飲料の販売すら認めない国がある中で、イスラム文化の受け入れのみを訴えていることが実態です。

 ギブ&テイクが成り立っていないのですから、反感を招くことになるでしょう。それを「人道」などという言葉を持ち出し、現地のマジョリティーに我慢を強いるから関係が悪化することになるのです。

 ブルカやニカブの着用を公共の場で禁じる法案はおかしいと主張するのであれば、懸念事項である「身元が隠せること」や「人物が容易に入れ代われること」への対策も合わせて打ち出すことは責務です。

 

 リスクを社会全般に押し付け、自分たちのエゴを押し通すのは無責任なことです。

 キレイゴトを主張する界隈は基本的にポピュリストですから、流行り物に飛びつき、トラブルが発生するとすぐに逃げ出します。結果的に責任を取らないため、耳障りの良い言葉で勧誘してくるという特色があるのです。

 特別対応を定めると、不公平感を生み要因となり、新らたな火種や利権の元となることを覚えておく必要があるのではないでしょうか。