駒崎弘樹氏や千田有紀氏はハーグ条約を “ガチで頭おかしい” と考えているのか?

 「親子断絶防止法案」というハーグ条約の日本国内版に該当する法案が今臨時国会で提出される動きがあり、駒崎弘樹氏や千田有紀氏が批判的な見解を表明しています。

画像:駒崎弘樹氏のツイート

 「DVを受けた母親が子供を連れて逃げれなくなる」と主張していますが、これは論点逸らしと厳しい指摘が入ることでしょう。

 

 まずはどのような法案を提出されようとしているのかを確認する必要があります。時事通信が今年5月に報じた記事が分かりやすいでしょう。

 離婚や別居で夫婦関係が破綻した父母が、子どもとの親子関係を維持していくための法案要綱を了承した。離婚の際に、親子の面会交流や養育費の分担を取り決め、離婚届に関係書類を添付するとの努力規定を設けることが柱。議員立法で今国会への提出を目指す。

 民法は、離婚後の親権者を一方の親に定める「単独親権制度」を採っている。このため、一方の親が子を連れ去り、もう一方の親との面会を拒絶しつつ養育を続けた場合、法的に救済する手段に乏しく、市民団体が法整備を求めていた。

 

 “単独親権制度” が採用されている現行法制では連れ去った者勝ちです。

 夫婦関係が破綻した父母のどちらか一方が無断で子供を連れ出せば、連れ去りであり、誘拐と同じです。2014年まで日本はハーグ条約(国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約)に加盟すらしていなかったため、批判を受け続けていた状況でした。

 それと同じ趣旨の法律が国内法でも整備する流れになることは当然と言えるでしょう。

 

 また、駒崎氏が主張する「DVを受けた母親が子供を連れて逃げれなくなる」というロジックには問題があります。

 まず、DVと虐待が違うということです。夫婦間の暴力はDVと表現されますが、親から子供への暴力は虐待と表記されます。

表1:DVおよび虐待についての組み合わせ
 被害者側
父親母親子供
加害者:父親 DVあり 虐待あり
虐待なし
DVなし 虐待あり
虐待なし
加害者:母親 DVあり 虐待あり
虐待なし
DVなし 虐待あり
虐待なし

 DVや虐待についての組み合わせは上記のように存在します。駒崎氏が懸念する「DVを受けた母親」はその中の1つで、母親がDV加害者であるケースも考えられるのです。

  • DV加害者が離婚されたくないために子供を連れて逃げた
  • 親権争いで有利になるため、子供を連れ去った上でDVをでっち上げた

 このように、明らかに問題があるケースが存在していることが浮き彫りになったから法整備の話が具体化していると言えるでしょう。“でっち上げDV” を野放しにしておく理由にはなりません。

 

 DV被害者が家から逃げるのではなく、DV加害者を家から追い出す方針を打ち出すことがDV問題解決には欠かせません。子供のいる家庭でしかDVが発生する訳ではないという当たり前のことを見落としているのではないでしょうか。

 子供は母親の所有物ではないのです。駒崎弘樹氏や千田有紀氏は「子供は母親の所有物」という古い考え方に固執している印象があります。

 「DVを受けた」という一方の証言だけで子供の連れ去りが正当化され、先手を取られたもう一方の親は法的な救済措置が一切整備されていない現状を維持すべきと考えているのでしょうか。だとすれば、ガチで頭がおかしいのは駒崎弘樹氏や千田有紀氏となるでしょう。

 ハーグ条約が日本以外の先進国で締結されていた実情を踏まえた上で、根拠に基づく提案をする必要があると言えるのではないでしょうか。