「違法性が含まれない内容の下書き」を “公式文書” と主張しても政権へのダメージにはならない

 「官邸の最高レベルが言っている」と記載された文書が文科省の職員にメールで送信されていたことが判明したと NHK が伝えています。

 仮に、そのような文言を含むメールがあったとして、政権がどのような違法行為をしていた証拠になるのでしょうか。業務を怠っていれば、叱責されて当然です。この当たり前のことをマスコミや野党は見落としていると言えるでしょう。

 

 「加計学園」が計画している獣医学部をめぐり、「官邸の最高レベルが言っていること」などと記された文書は文部科学省内の複数の課の少なくとも10人以上の職員にメールで複数回、送信され、今も個人のパソコンの中などに保管されていることがNHKの取材でわかりました。これについて、文部科学省は「現段階でお答えすることはできない」とコメントしています。

 (中略)

 メールが送られたのは去年9月27日から28日にかけてで、このうちNHKが入手した資料は専門教育課の担当者名で28日に送られたもので、「本日朝の大臣レクについて概要を作成しましたので共有いたします」などと記され、文書が添付されていました。

 

 NHK が報じたメール内容は政権ではなく、文科省とマスコミが大きなダメージを受けることになるでしょう。まず、メールに記載された内容が事実であったとしても、政権側に違法性は皆無だからです。

 国家戦略特区に認定されれば、官僚機構(今治市と『加計学園』の場合は文科省)は方針に従って速やかに行動を起こさなければなりません。

 しかし、文科省は特区となってから長年放置し続け、管轄外である「獣医師の需要見通し」などを理由にサボり続けてきたのです。それが安倍政権で国家戦略特区に認定されたことで “動かない理由” がなくなったと言えるでしょう。

 

下書き(ドラフト)は “公式文書” とはならない

 文科省が調査で「文書の存在は確認できなかった」と発表していたのは当然です。“公式文書” には「官邸の最高レベル」というマスコミが騒いでいる怪文書に記述された内容は存在しないのですから、当たり前のことなのです。

 NHK などが記載があったとするのは「大臣レクについて概要を作成しましたので共有いたします」というメールに書かれたものです。

 これは “公式文書” になる前の(個人的主観が多く含まれた)下書きに過ぎないものです。『オフィシャルな文面』として扱うにはかなり筋の悪いものと言えるでしょう。

 新聞社やテレビ局がニュースなどを報じる際の原稿を作成するための資料を同僚に送ったメールの内容は『報道機関の公式見解』として扱って良いものでしょうか。さすがに無理があると言わざるを得ません。

 

個人の PC に内部情報を保存することは情報漏洩である

 政権側の違法は全く含まれていない文科省のメールですが、「個人のパソコン内に保存されている」という報道内容は(事実であるなら)セキュリティーの観点から非常に大きな問題です。

 文科省の内部で送受信されているメール内容が個人のパソコン内に保存できていることが明るみに出たのです。他にも流出している情報はあると見るべきで、文科省全体を揺るがすスキャンダルとなるでしょう。

 内容に違法性がない訳ですから、政権側のダメージは大きく見積もっても限定的なイメージダウンでしょう。しかし、メールを個人のパソコンに保存していた文科省関係者は懲戒処分の対象です。

 世間が味方になってくれるのは「違法性のある内容が含まれたメールを無編集でリークした場合」だけです。違法性がないメールを個人のパソコンに保存し、編集が疑われる状況でリークした今回のようなケースでは自分たちの身に “火の粉” が降りかかってくることを自覚しなければなりません。

 

『加計学園』騒動の全体図を見せないマスコミが知られたくないこと

 今治市が国家戦略特区を申請し、獣医学部を新設するために活動している件ですが、騒ぐマスコミほど全体図を見せようとはしません。

 DAPPI 氏がツイッターで公開している相関図は本来であれば、マスコミ(新聞やテレビ局)が作成しているべきものです。記載されている内容は公開情報から確認が可能なものばかりであり、個人の調査能力にマスコミの “調査報道” が敗けているようではメディア不信は起きて当然と言えるでしょう。

画像:政権批判の相関図

 『総理の意向』があったと主張する勢力がありますが、総理の権限は有権者が選挙を通して与えるものです。『国民の意向』は『総理の意向』を介する形で示されることが日本の民主主義なのです。

 「官僚の仕事は政権の意向に反すること」と宣言することは自由ですが、実際に行動を起こせば、“官僚機構の暴走” と世間は判断するでしょう。退官後の天下り等のために、国益を無視して官僚が好き勝手できた制度がおかしかっただけなのです。

 

 天下りで行政を歪めてきた張本人をヒーローのように持ち上げるマスコミの態度は失笑物です。特区認定から何もせず、仕事をサボり続けてきた文科省のトップを称賛しているようでは世間一般からの支持は得られないでしょう。

 組織の内部情報を流出させれば、それを受け取ったマスコミは記事という形で儲けることができるため積極的に持ち上げることが予想されます。現役時代に何もせず、組織を離れてから “裏事情” などと称し、証拠も示さず胡散臭い内容を語るだけの人物を信用することは止めるべきなのではないでしょうか。