マツダが燃費を 2〜3 割改善する新型エンジンを発表、EV への布石も打つ

 マツダが燃費を 2〜3 割改善したガソリンエンジンを開発したことを発表したと日経新聞が伝えています。

 先進国はガソリン車やディーゼル車から EV (電気自動車)へのシフトが政策として発表されています。そのため、途上国でシェアを確保するなど柔軟な経営戦略が求められると言えるでしょう。

 

 マツダは8日、技術開発の長期ビジョンを公表した。燃費を2~3割改善した新型のガソリンエンジンを開発した。点火ではなく圧縮によってガソリンを燃やす技術を世界で初めて実用化し、2019年に導入する。同社はハイブリッド車(HV)などを含めて、当面は世界の新車の大半がエンジンを搭載する車が占めるとみている。

 (中略)

 環境目標も公表した。企業平均のCO2排出量を10年と比べて、30年に5割、50年に9割削減する。新型エンジンなどを活用し、環境負荷の少ない商品を展開する。EVではトヨタ自動車と共同で開発する計画を4日に発表していた。

 

 『パリ協定』に加盟した先進国は二酸化炭素の排出量を削減する責務を負っています。そのため、フランスなどはガソリン・ディーゼル車から EV への方針転換を政策とした発表したのです。

 既存の自動車メーカーにとっては逆風と言えるでしょう。技術の進歩次第ですが、産業そのものが行き詰まることになるからです。ただ、「確定的な未来」と言えないこともあり、不確定な要素だと思われます。

 

1:「EV のバッテリー > ガソリン車の内燃機関」となるのか

 現状では「ガソリン車(ディーゼル車)の内燃機関 >> EV のバッテリー容量」という圧倒的な差が存在します。“逆転” は簡単に起きることはないでしょう。

 『バッテリー容量』が向上すれば、「ガソリン+電気」のハイブリッド車(HV)が向上することになりますので、EV だけが恩恵を受ける訳ではありません。したがって、逆転するための要因は「電気代」がメインになると考えられます。

 「原発の安いコストで夜間に発電・充電した電力分」で日常利用の数日分が可能になることが EV の普及に向けた基準となるでしょう。

 マツダの発表は内燃機関の効率を大きく飛躍させるものです。バッテリー容量についても同等の飛躍を遂げなければ、差が縮まるどころか広がることになるのです。

 

2:EV でトヨタと組んで追い上げを図る

 マツダは電気自動車(EV)の分野でトヨタと組み、追い上げを図ることを発表しています。ディーゼル車に特化していたこともあり、巻き返しが必要であることは明らかです。

 マツダが見立てているように当面はガソリン車が主力となるでしょう。電力に余力のある国や地域では EV へのシフトが徐々に進むはずです。しかし、途上国を中心とした多くのエリアでは依然としてガソリン車・ディーゼル車が主力として活躍すると予想されます。

 電動システムとの組み合わせはトヨタがハイブリッド車による実績を持っています。この部分でトヨタからの協力を得られれば、先進国市場での飛躍が現実味を帯びることでしょう。

 

 現在の生産体制を変更する必要はありませんが、研究・開発への比重は徐々に変えていく必要はあるはずです。5年先、10年先といった中長期の経営戦略が適切なものであるかはいずれ明らかになると言えるのではないでしょうか。