「人気漫画の無断掲載で年間1億円の広告収入」という誘惑に敗ける人物はこれからも出ることだろう

 週刊少年ジャンプで連載中の『ONE PIECE』などネット上で無断掲載していた人物が警察に逮捕・起訴されたと NHK が報じています。

 逮捕された1人は「3年近くで少なくとも3億500万円の広告収入を得ていた」とのことであり、海賊版が世に蔓延し続ける大きな理由になっていると言えるでしょう。ネット広告を運営する業者とタッグを組み、海賊版対策に乗り出す必要があると言えそうです。

 

 警察によりますと、このうち上原容疑者ら3人は、ことし7月までのおよそ1年間にわたり、集英社が刊行するマンガ雑誌「週刊少年ジャンプ」で連載中の人気マンガ「ONEPIECE」などの画像データをスキャナーで読み取ったうえで、発売前にインターネットのサイトに載せたとして著作権法違反の疑いが持たれています。

 3人は正規の発売日の前に販売を行う「早売り店」と呼ばれる店で雑誌を購入したということです。また、サイトを閲覧したことによる広告収入により、およそ7500万円を得ていたということです。

 (中略)

 また、堀田井被告は、インターネットの同じようなサイトから画像をコピーして自分のサイトに載せ、逮捕されるまでの3年近くで、閲覧による広告収入を少なくとも3億500万円得ていたということです。

 

 

1:人気コンテンツの持つ力は大きい

 広告収入で年間1億円超を得ているのですから、人気コンテンツが持つ力は大きいと言えるでしょう。

 違法サイトで作品を見ている人は制作物に対する対価を払っておらず、著作権保有者が損害を被っていることになります。この点は改善しなければならないことは明らかです。

 人気漫画で問題となっていますが、映画でも同じことが起きていると推測できます。また、AV(アダルトビデオ)でも同様の問題はあると言えるでしょう。

 

2:広告配信会社に損害賠償請求できる形を模索すべきだ

 不正アップロードをするサイトを閉鎖する方針は “いたちごっこ” になるでしょう。無償でアップロードする人もいますが、海賊版の配信に力を入れるのは広告収入を目論む人の方が多いはずです。

 そうなると、広告配信会社に著作権保有者が賠償を求められるよう法整備をすることが対策として有効だと考えられます。

 「違法配信をするサイトに資金援助している」のですから、大掛かりな法改正は不要であるはずです。海賊版の配信はテロリストやマフィアなど反社会勢力の資金源にもなっており、法改正に否定的な声は少ないと予想されます。

 犯罪行為に手を染める、または加担すると代償を支払うことになると知らしめておく必要があると言えるはずです。

 

3:「合法サイトの一覧」を出版社が責任を持って作成し、掲載しておくべきだ

 ネット上では「どこが合法サイトなのか分かりにくい」という点も海賊版を蔓延させる原因となっています。

 例えば、『電子書籍サイト』という形で人気漫画が “期間限定で無料公開” となっていれば、多くの人がアクセスすることでしょう。ただ、その『電子書籍サイト』が(ネットなどで収集した)海賊版を公開していたとしても、ほとんどの人はその事実に気づかないはずです。

 この手の『偽・電子書籍サイト』を運営するメリットがないように思われますが、コンテンツにかかる費用(=コスト)はゼロです。つまり、アクセスがあった分だけ広告収入という形で見返りがある訳ですから、運営する見返りは十分にあるのです。

 『電子書籍サイト』が乱立する現在では読者が合法サイトであるかを見分けることは不可能と言えるでしょう。出版社が「契約を締結している電子書籍サイト一覧」を随時更新してくれないかぎり、『偽・電子書籍サイト』に誘導される人は絶えず出続けることになるはずです。

 

 不正視聴や海賊版は論外ですが、従来の啓蒙活動を続ければ良いという話ではありません。活動方法や対策にも工夫を加え、公式サイトや公認している電子書籍サイトの案内も充実させる必要があると言えるのではないでしょうか。