朝日新聞、「放射性廃棄物の崩壊熱で地下は南国のように暑かった」と事実と異なるツイート

 「エビデンス?ねーよ、そんなもん」と宣言した朝日新聞ですが、編成局がツイッター上で有言実行し、宣言内容が正しいことを実証する事態が起きています。

画像:朝日新聞のツイートに対するファクトチェック

 

■ 朝日新聞社のツイート内容

 問題の投稿は朝日新聞・東京報道編成局がツイートした以下のものです。

画像:朝日新聞による問題のツイート

 

 朝日新聞のベルリン支局長を務める高野弦氏がレポートした記事の冒頭部には次のように始まっています。

 ドイツ中部にある街のはずれで今、原発から出される放射性の廃棄物の最終処分場の建設が進んでいる。地下約1千メートルの世界にアリの巣のように張り巡らされたトンネルを11月中旬に訪ねた。そこは南国のように暑かった。

 この文面から、南国のように暑かった理由は「放射性廃棄物の崩壊熱」と書いたのです。ところが、この朝日新聞の主張内容には根拠(=エビデンス)が皆無だったため、失笑される事態を招きました。

 

■ 事実

1:放射性廃棄物の最終処分場は現在建設中

 朝日新聞の社員たちは読解力が欠如しているのでしょう。その根拠は高野弦・ベルリン支局長がレポートした記事に「最終処分場は建設中」との記載があるからです。

 ドイツ中部にある街のはずれで今、原発から出される放射性の廃棄物の最終処分場の建設が進んでいる。

 (中略)

 運び込まれるのは、廃炉の過程で生じる構造物など、中低レベルの放射線廃棄物。この国ですべての原発が止まる2022年からの運用を目指している。

 記事の冒頭で「最終処分場の建設が進んでいる」と明記され、文書を読み進めて行くと「この国ですべての原発が止まる2022年からの運用を目指している」と書かれているのです。

 運用が始まっていない最終処分場に放射性廃棄物は存在しません。そのため、建設中の最終処分場で放射性廃棄物による崩壊熱など発生しないのです。

 

2:地下の温度が高くなる理由は「地温勾配」が存在するから

 地下の気温が高い理由は「地温勾配」という現象が生じるからです。日本地熱学会のウェブサイトでは以下のように説明されています。

 地温勾配は地球内部において深さが増すに従って温度が増加する割合を示します。現在の掘削技術で掘り進むことのできる深さ,すなわち,およそ10,000mを超える深さまでの平均地温勾配は約2.5−3℃/100mです。

 もちろん、例外はあります。地熱発電が可能な地熱地帯では地温勾配の数値は高くなりますし、堆積岩で満たされた盆地では数値は低くなるからです。ただ、そうした地域は「放射性廃棄物の最終処分場に適した安定した地層」ではないため、今回は考慮する必要はないと言えるでしょう。

 さて、高野・朝日新聞ベルリン支局長が取材したドイツ・ザルツギッターにある最終処分場は地下 1000m に存在します。地表の温度が 0 ℃近いと書かれた上、案内役を務めたアルトゥア・ユンケルト氏(地質学者)も「100メートル下るごとに気温は3度あがります」と説明しています。

 そのため、地温勾配から地下の気温は 25〜30 ℃と推測が可能と言えるのです。

 

 そもそも論としては「中低レベルの放射線廃棄物」が運び込まれる予定の施設で「地震の発生」を心配すること自体がナンセンスです。朝日新聞が報じる原発関連の記事は根拠なく不安を煽る内容になっているという前提で読む必要がありそうです。