ダルビッシュが不満に感じていようと、「チームの勝利」のために5回途中で投手交代を決断したマドン監督の采配は正しい
アメリカ時間4月4日に行われたブレーブス戦に先発したダルビッシュ投手(カブス)は5回途中までの投球回で3失点を喫し、今季初勝利とはなりませんでした。
ダルビッシュ投手が試合後に「交代は予想外だった」とのコメントを残したと日刊スポーツが報じていますが、投球内容を踏まえると妥当な采配と言えるでしょう。なぜなら、チームの勝利のためには続投させるのは難しい状況だったからです。
ー もうちょっと投げたかった
ダルビッシュ もちろん。交代は頭の中でゼロだったので。次はフリーマン、アクーニャ。フリーマンへの対策じゃないけど、こうやって投げたらゴロアウトが取れるんじゃないかというのは頭の中にあった。アクーニャも絶対僕に合っていないと思っていた。そこを考えていて、守備を代えたいんだなと思ったら、いきなり(監督に)「グッジョブ」と言われたから、どういうことやろう、と。最初は言っていることの意味が分からなかったからビックリしました(苦笑い)。
5回の投球内容では「ダルビッシュ続投」は難しい
ダルビッシュ投手が5回途中で交代となったのは「5回に見せた投球内容が “要求水準” を下回っていたから」です。どのような要求があったと考えられるかを整理することにしましょう。
- 4回裏を終えた時点での投球数は65球
- セットポジションになるとダルビッシュ投手の投球は苦しくなる
- 試合は 1-0 でブレーブスがリード
- ブレーブスの先発フリード投手は5回表まで完全試合のペース
- 5回裏はブレーブスの1番から攻撃が始まる(= 3順目)
- ブレーブスの5番マーケイキス選手は2打数2安打
まず、ダルビッシュ投手と投げ合ったブレーブスのフリード投手は5回を終えた時点でパーフェクトピッチを継続中でした。つまり、1点ビハインドのカブスにとっては「次の1点」が致命傷になる可能性が高い状況だったのです。
ダルビッシュ投手は4回を65球・1失点ですから、悪い内容ではありません。
しかし、先頭のインシアーテ選手に2塁打を許し、ドナルドソン選手に “ストレートでストライクが取れず” に歩かせたことで降板となりました。マドン監督の判断は間違いとは言えないでしょう。
65球・1失点の “エース” を5回途中で降板させることはあり得ないが、今のダルビッシュは “エース待遇” に値しない
65球・1失点で5回を迎えた “エース” を5回途中で降板させることはあり得ないでしょう。なぜなら、「100球を目処に6回3失点」でクオリティー・スタートとなり、先発投手は役割を果たしたと言われるからです。
ダルビッシュ投手がブレーブス戦で見せていた投球内容はクオリティー・スタートを十分に狙えるものでしたし、「続投」も選択肢に含まれていたはずです。
特に、エースという地位にある投手であれば、70球程度での降板は「侮辱」の意味合いにも取られる恐れがあります。ですが、ダルビッシュ投手がカブスで残している成績は「エース待遇を与えるに値しないもの」であり、ブレーブス戦で途中降板させた采配に対する批判は起きていません。
これがダルビッシュ投手の “カブスでの現状” なのです。相手打線を圧倒することが期待されてチームに FA で加入した投手が見せている内容としては不十分と言わざるを得ないでしょう。
クオリティー・スタートを続けてチーム首脳陣からの信頼を得るしかない
エースとして君臨するためには先発した試合の半分以上でクオリティー・スタートを達成することが求められていると言えるでしょう。ローテーション入りを目指す投手とは “求められている水準” とは大きく異なるのです。
ダルビッシュ投手は「FA による大型契約で加入」した立場ですから、メディアやファンの要求が高くなるのは当たり前です。
ローテーションの1番手か2番手で投手陣を牽引することが期待されているのです。したがって、「クオリティー・スタートを続ける」か「リードしている状況で降板する」を続けることで信頼を得なければならないでしょう。
相手を圧倒し、試合を支配する投球をダルビッシュ投手が見せることができるのかに注目と言えるのではないでしょうか。