あいちトリエンナーレ問題・その2: なぜ主催者の大村知事や津田大介氏は「『昭和天皇の写真を焼く映像作品』が “ヘイト作品” に該当する否かの見解」を示さないのか
愛知県が主催する『あいちトリエンナーレ』が複数の問題で炎上し、批判が寄せられる事態となっています。
トップの大村知事は「論点そらし」に走っているのですが、大村知事自身の見解を述べなければならない論点もあることが現状です。その1つが「『昭和天皇の写真を焼く映像作品』が “ヘイト作品” に該当する否か」です。
この項目に対する自身の見解を実行委員長の大村知事と現場監督の津田大介氏はカメラの前で述べる必要があると言えるでしょう。
問題の作品は “ヘイト(= 憎悪)作品”
日頃は「知る権利」を掲げるマスコミですが、「ネット上で大炎上する原因の1つとなった『あいちトリエンナーレ』で展示されていた作品には触れない」という忖度を行っています。
これは「作品の内容が世間一般に知れ渡ると大きな反発を招く」とマスコミが認識しているから、あえて触れようとはしないのでしょう。なぜなら、『昭和天皇の写真を焼く映像作品』が公的機関で展示されたことを正当化するのは困難だからです。
「昭和天皇の写真を焼き、バーナーを使用して灰にした後に靴で踏みつける」という作品なのです。
被写体に実在の人物が利用されているのですから、「ヘイト」との批判が起きるのは当然と言えるでしょう。したがって、該当の作品が展示されていた主催者である大村知事と現場監督の津田氏は「ヘイトに該当するか」についての見解を示さなければなりません。
大村知事は「該当の作品はヘイトではない」と明言しなければならない
大村知事が『表現の自由』に論点を逸らす理由は「 “ヘイト作品” は公的施設に展示するのか」との批判を招くからです。なぜなら、過去に「在日の排斥を訴える集会には愛知県の施設を利用させない」と言及しているからです。
愛知県の大村秀章知事は30日の記者会見で、在日コリアン排斥などを訴えるヘイトスピーチのデモについて「表現の自由でも何でもない人権侵害だ。国際的に恥ずべきことだ」と批判した。一方、河村たかし名古屋市長は同日の会見で「いろんなことをしゃべるのは絶対的に自由とすべきだ」と留保をつけた。
大村知事は「反日活動を行う在日韓国・朝鮮人は国に帰れ」との主張は「人権侵害」と切り捨て、愛知県の施設では集会を不許可とする姿勢を鮮明しています。
つまり、「ヘイトは愛知県施設でさせない」と過去に宣言しているのです。『昭和天皇の写真を焼く映像作品』は愛知県が主催するイベントに展示されていたのですから、大村知事の基準では「ヘイトではない」のでしょう。
しかし、大村知事は「該当の作品がヘイトには当たらない理由」を説明していません。「ヘイトスピーチに対する自らの立場」と「ヘイト作品に対する自らの立場」に矛盾が生じており、説明責任を果たす義務が大村知事にはあるのです。
施設利用の申請時に「ヘイトが行われるか」は分かりようがないが、愛知県は「貸し出し不許可」としている
大村知事は「ヘイトスピーチが行われる可能性がある」との理由で一部の団体が愛知県の施設を利用することを不許可としています。
この運用方針であるなら、『ヘイト作品の展示が疑われるイベント』に愛知県の施設を利用させることは論外であるはずです。しかし、愛知県はイベントを “主催” したのです。
これは「県の落ち度」として厳しい批判にさらされるべきです。『言論の自由(= ヘイトスピーチ)』と『表現の自由(= ヘイト作品』で大村知事の対応が180度異なっており、メディアが先頭に立って批判しなければならない部分でしょう。
「ヘイトではない」とカメラの前で断言できるなら、『表現の不自由展・その後』で展示された作品群のリストを公式ウェブサイト上で公表できるはずです。
それができていない時点で「作品展の開催は間違いだった」と主催者側が認識している何よりも証拠と言えるのではないでしょうか。