大西洋をヨットで横断中の環境保護活動家グレタ・トゥンベリ(16歳)、“帰投用のクルー” が飛行機で渡米して無駄にCO2を排出する

 スウェーデン大使館の公式ツイッターが9月に国連本部で行われる気候サミットに出席するために大西洋をヨットで横断中のグレタ・トゥンベリ(16歳)を取り上げた記事を好意的に紹介しています。

 しかし、これは欺瞞です。なぜなら、横断に使ったヨットをヨーロッパに帰投させるための乗組員を航空機で渡米させているからです。「CO2 削減」を訴えていながら、支離滅裂な行動と言わざるを得ないでしょう。

 

 スウェーデンの高校生で、環境保護活動家のグレタ・トゥンベリさん(16)は14日、大西洋対岸の米国を目指しヨットで英国を出発した。風力のほか、太陽光や水力を使って温暖化ガスの排出量を最小限に抑えたヨットを用いる。

 (中略)

 米国への航海は約2週間かかる見通し。父親らも同乗する。トゥンベリさんは英BBCに対し、飛行機を使わないことで温暖化ガスの排出量を削減できるだけでなく「気候変動の危機が実際に起きている問題であることを示したい」と話した。

 スウェーデン大使館の公式ツイッターが引用した記事は日経新聞のものです。

 ただ、この記事ではグレタ・トゥンベリ氏にとって都合の悪い事実は隠れています。リベラルの都合の良い自己満足に騙されないようにする必要があると言えるでしょう。

 

「グレタが乗船中のヨットを誰が運行しているのか」との疑問を持つことが重要

 まず、複数人が乗船できる規模のヨットを操縦するには “特殊な技能” が必要です。環境保護活動家であっても、この技能を保持しているケースは稀と言えるでしょう。

 グレタが乗船をオファーしたのは『マリツィア・Ⅱ(= Malizia II)』でヨット選手のボリス・ハーマン氏とピエール・カシラギ公子がスキップを担っていると AFP が報じています。

 ただし、これは「行き」の話です。「帰り」の航行が完全に抜け落ちており、この部分にスポットを当てられたくないのでしょう。なぜなら、CO2 を必要以上に排出する形になっているからです。

 

「帰投用のクルーは航空機で渡米」し、「ハーマン選手は航空機で帰欧」の予定

 AFP が報じた記事で問題視されるべきは以下の部分でしょう。

 a spokesman for German round-the-world sailor Boris Herrmann, the yacht's co-skipper, told Berlin newspaper TAZ that several people would fly into New York to help take the yacht back to Europe. Hermann himself will return by plane, according to the spokesman.


 (和訳)ヨットの共同スキッパーであるドイツ人・世界一周セーラーのボリス・ハーマンのスポークスマンはベルリンの新聞 TAZ に何人かがヨットをヨーロッパに戻す手助けをするためにニューヨークにフライト入りしたと述べた。スポークスマンによると、ハーマン自身は飛行機で戻るという。

  • 行き(欧州 → アメリカ)
    • ヨット組: グレタ、ハーマン、カジラギ公子等
    • 航空機組: ヨット帰投用のクルー
  • 帰り(アメリカ → 欧州)
    • ヨット組: 帰投用のクルー
    • 航空機組: ハーマン
    • 不明: グレタ、カジラギ公子等

 グレタが乗船したヨットをヨーロッパに戻すためのスタッフが航空機でアメリカ入りしているのです。明らかに CO2 の無駄な排出を招いていると言えるでしょう。

 なぜなら、グレタが航空機でアメリカ・ニューヨーク入りをしていれば、ヨットを帰投させるためのクルーが航空機を使う必要はなかったからです。

 そもそも論で言えば、グレタはニューヨークに行く必要すらなかったでしょう。これはスカイプなど映像通信技術を使うことで、温室効果ガスの排出を限りなくゼロにできるからです。この視点がかけている時点で “パフォーマー” であることは否定できないと言えるでしょう。

 

「どうして解散するのですか」と問いかけた『自称・小学4年生』と同じ匂いがする

 “16歳の環境保護活動家” という肩書きは「どうして解散するのですか」と問いかけて炎上した『自称・小学4年生』を彷彿とさせます。

 弱者である未成年を前面に押し出すことで主張に対する批判や追求を回避・緩和しようとする姿勢がそう感じさせるのでしょう。「温室効果ガスの削減」を目標に設定しても、具体的で現実的なアプローチの作成は必要不可欠です。

 ですが、グレタは目標を達成するためのアイデアを持っていません。なぜなら、グレタは “問題を指摘する役割” を演じているだけで、『具体的で現実的なアプローチ』を決めるのは “大人の役目” と決め付けているからです。

 ここで便利になるのは「未成年で被選挙権がない(= 現時点では政治家になれない)」という現実です。堂々と現役の政治家に責任転嫁できるのですから、環境団体や活動家から支援を受ける政党がグレタを持ち上げるのは自然の成り行きと言えるでしょう。

 

 しかし、グレタは発言と行動が一致していないのです。この部分は批判にさらされるべきものですし、“本気で” 地球温暖化問題に取り組んでいる人々の足を引っ張ることになってしまうことでしょう。

 表面的な環境保護活動家の主張を無条件に支持していることは問題です。少なくとも、今回のグレタの行動は批判的に言及しなければならないと言えるのではないでしょうか。