関電の金品授受問題:高浜町の元助役が “人権教育” の講師を務めていたことが判明し、察したメディアが距離を取り始める

 関西電力の役員らが福井県高浜町の元助役から金品を受け取っていたことが発覚しました。ただ、TBS 系列の毎日放送が「元助役は関電幹部を対象にした人権教育の講師」と伝えたことで報道の量は急減することでしょう。

画像:MBSが報じたニュース

 なぜなら、関西で企業を対象にした “人権教育研修” で「何についての研修であるか」を察することができない報道機関や記者は絶望的にセンスと危機管理能力が欠如していると言わざるを得ないからです。

 

 関西電力の役員らが福井県高浜町の元助役から多額の金品を受け取っていた問題で、幹部クラスの人権教育研修の講師として元助役が招かれていたことがわかりました。

 (中略)

 関西電力の八木誠会長が原子力事業本部にいた2006年から2010年頃、定期的に原子力担当の幹部職員らを対象にした人権教育研修が行われ、講師として招かれていたのが森山元助役だったということです。

 

「人権」とは「同和(= 部落差別問題)」の隠語

 人権が昨今のニュースで取り上げられるのは「多様性(= ダイバーシティ)」に関するものが大半でしょう。しかし、企業を対象に行われる “人権教育” はそれとは異なります。

 現に、関西電力が発表した2018年版のグループレポート(PDF)でも言及があります。

画像:関西電力の人権教育に対する取り組み

 2017年にも幹部級の社員を対象に『部落差別解消推進法』などをテーマに沿った人権講演会が行われています。また、関電は同和・人権教育推進委員会が “年2回” のペースで開催しており、元助役が多くの社員と接点を持つことは必然の間柄にあったのです。

 こうした部分の言及を避けようとするマスコミが報じるニュースから得られる情報は偏っていると言わざるを得ないでしょう。

 

「『同和案件』であることが確定的な問題」に切れ込む気骨を持った記者や政治家が果たしているだろうか

 関電役員らの金品授受問題は『同和案件』であることが仄めかされており、「同和案件の観点から追求できる人物がいるか」が最大の注目点です。

 なぜなら、交付金や補助金の経路を洗う必要があり、与野党の政治家や自治体の首長経験者などが “返り血” を浴びる可能性が高い案件だからです。

 同和問題にメスを入れるのであれば、部落解放同盟を避けることはできません。故・野中広務氏(自民党)や故・松本龍氏(民主党)といった国会議員に力を与える源泉となったのですから、「触れてくれるな」との “要望” を受けることになるでしょう。

 そうした状況下に置かれた政治家が闇を追求し続ける覚悟があるのかが問われますし、保身に走る組織を動かす覚悟を持った記者がマスコミ内にどれだけいるのかも問われることになるからです。

 

「原発マネーの闇」というストーリーで “関西電力だけ” を悪者にするのは無理がある

 朝日新聞などは「原発マネーの闇」との筋書きで関西電力を黒幕に見立てた記事や社説を掲載しています。しかし、このストーリーには無理があります。

 原発マネーを関電経営陣が還流させたいなら、必要なのは「関電の言いなりになる人物や下請け・協力企業」であり、「関電に対して威圧的な人物」ではありません。

 しかし、元助役は恫喝的な態度を発注主(= 関電)に採り続けた上、(助役を)辞めてから30年も絶大な権力を持ち続けたのですから、本当の闇は「原発とは別の “何か”」であることは明白です。

 この部分を追求できないマスコミほど、同和の影が見え隠れしている現実から目を背け、関電だけを叩く論調を展開することになるでしょう。

 いくつかの主要マスコミは日頃から「権力を監視することが役目」と豪語しています。これが事実であることを証明するのは「疑惑の元助役が絶大な権力を持つことになった源泉にメスを入れること」が必要不可欠です。

 戦後最大のタブーとも言われる同和利権を追求することができる記者(やマスコミ)、政治家がどれだけいるのかが最大の注目点と言えるのではないでしょうか。