楽天の三木谷社長が4月から携帯電話事業の本格サービス開始を表明、有言実行となるかが注目点

 楽天の三木谷社長が「4月から携帯電話事業の本格サービスを開始する」と記者団に語ったと NHK が報じています。

 ただ、現状は本格サービスの導入が遅れています。根幹となるのは「(多額の費用を要する)基地局の整備」ですから、そのための投資をどれだけ継続できるかが大きな注目点になると言えるでしょう。

 

 楽天は去年10月、第4の事業者として携帯電話事業に参入しましたが、基地局の整備の遅れなどから東京23区や大阪市などに住むおよそ5000人を対象に、無料の限定サービスを行うのにとどまっています。

 これについて6日、記者団の取材に応じた楽天の三木谷社長は「4月にサービスインする。順調に進んでいるが、万全には万全を期して二重、三重、四重の手を打って安定的なサービスになるように頑張りたい」と述べ、本格的なサービスをことし4月から始める方針を示しました。

 

携帯電話事業に参入はしたものの、不完全燃焼の楽天

 楽天は “第4勢力” として昨年10月に携帯電話事業に参入しました。ただ、基地局の整備が遅れており、本格的なサービスが提供できていない状況でした。

 ただ、基地局を整備するには多額の資金を必要とします。「基地局の整備費」と「通信速度」は比例関係にありますから、どれだけ資金を投じることができるかがポイントになるでしょう。

 三木谷社長は「4月にサービスイン」と宣言しています。当初の予定から半年遅れの状況ですが、期限が区切られたことがどちらに転ぶか次第です。

 見切り発車をしてしまうと通信障害という形で事業に影響が出てしまいます。実際の準備状況がどれだけできていたかは4月のサービスイン時に明らかになることでしょう。

 

野球やサッカーに潤沢な資金を投じている楽天なら、基地局の整備費用は用意できそうだが

 携帯電話事業に新規参入した楽天は「基地局の整備」に資金を投じ続ける必要があります。具体的には「ソフトバンクに対抗できる通信網の構築」が目標になります。

 人口の多い中核都市から始め、(災害時に緊急車両が使用する)幹線道路沿いを重点的に整備していくことになるでしょう。

 しかし、そうするためにも初期費用で “まとまった投資額” が必要不可欠です。楽天は保有するプロ野球球団やサッカークラブに多額の資金を投下していますから、資金繰りに苦しむ状況ではないと考えられます。

 とは言え、巨額の投資となる(ことが確定的な)基地局の整備をどれだけ楽天が地道に行うかが鍵です。工事を行う作業員の人手不足が進行している状況ですから、予想以上の支出になることも想定しておく必要があると言えるでしょう。

 

4社による値下げ合戦が始まるのは少し先では?

 楽天が参入の目玉となる価格帯を発表したとしても、他社はすぐに追随することでしょう。そのため、『真似されにくいサービス』を提供しなければ、価格競争は長引かないと思われます。

 また、料金価格を下げると企業の収益が悪化します。楽天は同業他社よりも基地局の整備に注力しなければならない立場にある訳ですから、参入当初から薄利多売に走る可能性は低いと考えられます。

 楽天は最後尾から追い上げを図る立場ですから、それに成功した『Tモバイル・アメリカ』のビジネスモデルを参考にすべきでしょう。ドコモや au に正面から勝負を挑んでも、先行投資による差を埋めることは困難です。

 したがって、楽天の提供サービスを真似た他社のダメージが大きくなるビジネスモデルで独自路線を突き通せるかが事業収益化の1つの答えとなるでしょう。具体的な参入時期をトップが明言した楽天による携帯電話事業が上手く軌道にのるかが注目点と言えるのではないでしょうか。