武漢がある湖北省に隣接する中国・湖南省で『H5N1型の鳥インフルエンザ』が発生、人間への感染に細心の注意を払う必要が生じる

 新型のコロナウイルスが引き起こすインフルエンザによる肺炎が発生した中国で今後は「ヒトへの感染が起こり得る『H5N1型の鳥インフルエンザ』が発生しているのが確認された」と NHK が伝えています。

 確認されたのは新型のコロナウイルスが最初に発見された中国・武漢がある湖北省に隣接する湖南省です。昨年は北朝鮮に隣接する遼寧省での発生が確認されているだけに、鳥インフルエンザへの警戒も怠ってはならないと言えるでしょう。

 

 中国の湖北省で新型のコロナウイルスの感染が拡大する中、隣接する内陸部の湖南省の養鶏場でニワトリが「H5N1型」の鳥インフルエンザウイルスに感染しているのが確認され、当局は警戒を強めているものとみられます。

 これは、中国の農業農村省が1日発表したもので、湖南省邵陽にある養鶏場で、ニワトリが「H5N1型」の鳥インフルエンザウイルスに感染しているのが確認され、4500羽が死んだということです。

 (中略)

 鳥インフルエンザはもともとは鳥に感染する病気で、「H5N1型」と呼ばれるウイルスはヒトにも感染して重い症状を引き起こすことが知られています。

 中国では、去年、東北部、遼寧省の鳥の飼育施設でも感染が確認されていて、2015年には、内陸部、四川省で感染した男性が死亡したと伝えられています。

 

湖北省の武漢に人員が割かれている状況で『鳥インフルエンザ』の発生は厳しい

 湖南省邵陽にある養鶏場で確認された『鳥インフルエンザ(H5N1型)』はタイミングと場所がほぼ最悪に近い状況と言わざるを得ないでしょう。

 まず、H5N1型は人間への感染が起こり得るため、パンデミックを引き起こす可能性があります。大流行を防ぐためには初動が重要なのは明らかなのですが、湖南省は新型コロナウイルスが発見された武漢のある湖北省に隣接しているため、関係各所は既にフル稼働状態であることが予想されます。

 つまり、「『H5N1型の鳥インフルエンザの発症者』を迅速に発見・対処することが普段よりも難しい状況」に置かれているのです。

 現状で人間への感染が確認されていないことが不幸中の幸いと言えるでしょう。なぜなら、この状況では『新型コロナウイルス』が原因として先に疑われ、その間に『H5N1』の感染が拡大してしまう可能性があるからです。

 この点を認識した情報収集を行い、対応策を事前に準備しておく必要があるはずです。

 

「中国で『H5N1型』の人間への感染例が確認された場合の対応をどうするか」は事前想定をしておくべき

 中国では2019年に北朝鮮に接する遼寧省での発生例があり、2015年には西部にある四川省で男性の死亡例が報告されており、『H5N1型』の鳥インフルエンザが定期的に発生している状況にあります。

 発生時点では「注意情報」を速やかに発することが重要ですが、人への感染例が確認された時点で「警報」に格上げされなければなりません。また、感染の拡大が疑われる状況なら、早期対応を実行に移す必要があるはずです。

 なぜなら、『新型のコロナウイルス』よりも影響度が甚大と予想されるからです。

 「(武漢のある)湖北省出身者や2週間以内の滞在歴がある外国人は入国不可」との対応を採ったのですから、『新型鳥インフルエンザ』の場合は「発生した省の出身者および潜伏期間が経過していない外国人の入国は不可」との対応を採ることが求められるでしょう。

 感染源(= キャリア)となった人は公衆衛生上の問題を引き起こしたことに対する賠償責務を負わないのです。「差別だ」と批判する人やメディアも同様です。

 彼らに「感染発生時の対処予算として使用するからデポジットを納めて欲しい」と要望すれば、論点を逸らして逃げに入ることでしょう。そうした人々の “お気持ち” に配慮する理由やメリットは全く存在しないのです。

 

“独裁国から発信される情報” は「裏取りが困難な大本営発表」と同じと認識して対応に当たる必要がある

 厚労省は『新型のコロナウイルスが引き起こすインフルエンザ肺炎』に対し、「正しく恐れる必要がある」と過度なパニックにならないよう呼びかけを行っています。

 しかし、これは身勝手な要求と言わざるを得ないでしょう。なぜなら、「正しく恐れる」ためには “正確な情報” が必要不可欠だからです。

 『新型コロナウイルス』の件で発表されているのは “中国政府による公式発表”だけ。中国は共産党による一党独裁ですから、「発表された情報は正しいのか」を裏取りすることは極めて困難です。そのため、正しく恐れることをしたくてもできない状況にあるのです。

 日本での災害報道などでは「NHK が各地の保健所に問い合わせて集計を行ったところ、〜」という形で、報道機関によるダブルチェックが働きます。問題の隠蔽工作に対する一定の抑止力が機能する国と当局の発表内容を鵜呑みにすることには天と地ほどの差がある状況です。

 したがって、マスコミが日頃から政府の顔色を伺ってばかりの報道一色となっている国の当局が発表した情報しかない場合は「数字が 2〜3 割程度は当局の都合の良いように発表されている」との前提を持った対応をする必要があると言わざるを得ないでしょう。

 

 日本は法治国家ですから、そのための法的根拠が必要となります。対応を指示するだけでは実際の運用を行う現場の負担が増すだけですし、立法府が “本来の責務” を果たす必要があるはずです。

 パフォーマンスに走っている国会議員を褒め讃える従来の方針では真っ当な政党が育たないことは明らかです。今回の騒動を気に方針転換を図る必要があると言えるのではないでしょうか。