アメリカ大統領選の民主党指名候補争いはサンダース氏とバイデン氏による長期戦の様相となる
3月3日にアメリカの14州で行われた民主党の大統領候補を選択する予備選挙でバイデン前大統領(77)とサンダース上院議員(78)の2名に絞り込まれたと NHK が伝えています。
ただ、両候補ともに獲得代議員数は拮抗した状態にあります。そのため、民主党の指名候補争いは長期戦となることでしょう。
アメリカ大統領選挙の野党・民主党の候補者選びは、全米14州で予備選挙を行うスーパーチューズデーの結果、中道派のバイデン前副大統領と左派のサンダース上院議員の2人に絞り込まれ、トランプ大統領との秋の本選挙に向けた指名争いは激しさを増しそうです。
バイデン氏とサンダース氏以外の候補者は終戦
3日の “スーパーチューズデー” を終えた段階での主要候補の獲得代議員数は次のとおりです。
- ジョー・バイデン: 509
- バーニー・サンダース: 449
- エリザベス・ウォーレン: 37
- ピート・ブティジェッジ: 26
- マイケル・ブルームバーグ: 19
バイデン氏とサンダース氏以外の候補は獲得代議員数が「10分の1未満」ですから、事実上の終戦です。そのため、ブティジェッジ氏とブルームバーグ氏は撤退を表明。バイデン氏支持を宣言しています。
ただ、民主党の指名候補となるために必要な獲得代議員数の過半数は「1991」。トップのバイデン氏であっても、30% に達していないのです。サンダース氏は戦い続ける姿勢を示しているため、長期戦になることは避けられないでしょう。
「左派のウォーレン氏が予備選に残るか」が注目点
注目となるのは「左派であるエリザベス・ウォーレン氏の動向」でしょう。中道系の候補はバイデン氏を除き、予備選から撤退。バイデン氏に一本化されました。
一方で左派候補はサンダース氏とウォーレン氏の2名が残っているため、票が割れることが懸念されます。しかも、サンダース氏は “リードを許した2番手” ですから、現状は好ましくないと言えるでしょう。
ちなみに、獲得代議員数が多くなる選挙日は以下のとおりです。
- 3月10日: 365
- ミシガン州やワシントン州など
- 3月17日: 577
- フロリダ州やイリノイ州など
- 4月28日: 663
- ニューヨーク州やペンシルバニア州など
スーパーチューズデーを除いた3月に行われる予備選でも1000人強の獲得代議員が割り当てられるため、ここでバイデン氏がリードを広げると民主党の大統領候補が確定することになるでしょう。
サンダース氏が逆転するには「ビハインドを縮めて4月を迎えること」ですが、ウォーレン氏が “協力” するかが大きなポイントです。したがって、ウォーレン氏がどの候補を支持するのかが焦点となるのです。
エリザベス・ウォーレンは2016年の大統領候補選でヒラリー・クリントンを支持している
ちなみに、ウォーレン氏はヒラリー・クリントン氏とサンダース氏が争った2016年の民主党予備選では(「女性」という理由もあり)ヒラリー氏を支持しています。
政治的な主張はサンダース氏と同じ「左翼」ですから、自ら出馬した今回の予備選を踏まえた判断が大きなインパクトを与えることは言うまでもありません。なぜなら、どちらの候補を支持しても何らかの追求を受けることになるからです。
- (中道寄りの)バイデン氏を支持
- 「『左派系の政策』を掲げていたのに『中道』を支持するのか」との指摘が出る
- (左派の)サンダース氏を支持
- 「前回は(サンダース氏ではなく)ヒラリーを支持していたが」との指摘が出る
「政策面での整合性」という点では『サンダース氏支持』が合理的です。過去にヒラリー氏を支持していたという批判は「今回の予備選でウォーレン氏自身が掲げた(左派系の)政策」で黙らせることが可能だからです。
一方で『バイデン氏支持』を選択すると、『予備選で自らが掲げていた政策』が少々ネックとなります。「サンダース氏ではトランプ大統領に勝てない」と言えば、「あなたも同系統の政策だが?」との新たな批判を呼ぶことになってしまうからです。
民主党の大統領候補争いに大きな影響を及ぼすであろうウォーレン氏がどのような決断を下すかが大きな注目点と言えるのではないでしょうか。