NHK の受信料負担を「全世帯対象」にするなら、『公共放送』ではなく税金を投入する『国営放送』に改めるべき

 日経新聞によりますと、NHK の受信料精度を見直す議論が4月から始まる予定であり、「全世帯が受信料支払いの対象」となる可能性があるとのことです。

 テレビ保有の有無に関係なく、国内の全世帯が受信料を負担するなら『公共放送』の形を維持することは不適切です。税金を投入する『国営放送』の方が合理的ですから、根本的な設計そのものを議論する必要があるでしょう。

 

 デジタル時代に合わせてNHKの受信料制度を見直す議論が始まる。総務省が4月をめどに有識者会議を立ち上げ、テレビを持つ世帯だけが支払う今の仕組みの課題と改革の論点を整理する。ネット配信の番組をスマートフォンで楽しむ視聴者が増えることなどを想定し、テレビの有無にかかわらず全世帯が負担するドイツのような仕組みも含め幅広く検討する。

 

強制的に徴収した受信料を使って誰からも干渉されずに自由に番組作りをしたい NHK

 NHK にとって最も理想的な環境は以下のものでしょう。

  1. 安定した受信料収入がある
  2. “外部からの干渉を受けない番組制作環境” が保たれている
  3. (事実上の)国営放送としての地位が得られる

 要するに「現状維持」です。NHK は『公共放送』という位置付けですが、実質的には国営放送です。

 国営放送の場合は「政権の方針や発表」が “正確に” 報じられますが、NHK はそうではありません。新型コロナウイルスを報じる際は『ダイヤモンド・プリンセス』での感染者数を日本に加算したり、中国や韓国企業の宣伝に積極的だったりと問題行動も散見されます。

 NHK の現状を容認することは歓迎できませんし、受信料の対象範囲をネット上などに拡大することは論外と言わざるを得ないでしょう。「国内の全世帯」を対象とするなら、税金を投入する『国営放送』で十分なはずと言えるでしょう。

 

公共放送として活動するなら、『PPV 形式』を導入すべきだ

 そもそも、NHK の受信料制度は時代遅れです。情報が一方通行だった時代からは “前提条件” が大きく変わり、インターネットを通して誰もが情報発信できる双方向の時代なのです。

 また、番組をテレビで視聴しているかを技術的に確認することが可能になっています。どのテレビにも付いている『B-CAS カード』で補足できるのですから、技術的な障害にはありません。

 したがって、NHK が現在の『公共放送』を維持したいのであれば、B-CAS カードを用いた『ペイ・パー・ビュー(PPV)形式』の導入は不可避です。

 一般的な学生や社会人は「平日午前や午後の時間帯に放送されている情報番組」を見る機会は皆無なのです。視聴者が “見たいと思うコンテンツ” が存在しないにも関わらず、強制的に受信料負担を強いられる現状は是正されなければならない問題と言わざるを得ないでしょう。

 

全世帯から受信料徴収をするなら、税金で運営する『国営放送』とすべきだ

 仮に、NHK が(日本国内の)全世帯から受信料徴収を考えているなら、税金で運営する『国営放送』に形態を改めるべきでしょう。しかし、国営放送化は NHK が拒絶するはずです。

  • 税金で運営されると「受信料徴収のコスト」が不要になる
  • 納税額は高所得者ほど多い
    → NHK の受信料は定額
  • 「NHK 職員」は「国家公務員」になる
    給与水準が『公務員』と同じになる

 NHK が『国営放送化』を嫌う理由は「給与面の悪化」が考えられるからでしょう。現在は放送法を根拠に職員の平均年収は1000万円を超えていますが、国営放送になってしまうと「公務員叩き」を進めて来た “弊害” の直撃を受けることになります。

 NHK は「民間」と「国営」の2つの顔を上手く使い分けて批判を交わし続け、“恵まれ過ぎた環境” を維持して来たのです。「どちら一方を選択すべき」と言われても、理由を付けて現状維持に奔走することでしょう。

 しかし、好き勝手に暴走している状態の NHK を野放しにしておくメリットは視聴者には存在しません。受信料制度を変えようとするなら、「『PPV』か『国営』かのどちらを選ぶべき」と通告すべきです。

 総務省の有識者会議が「NHK を肥大化させるメリットはない」との結論を示せないのであれば、存在価値はないと言わざるを得ないのではないでしょうか。