安倍政権による『新型コロナ対策のための行動変容要請』は民主党政権の『反原発・再生可能エネ促進』よりも経済を破壊するだろう
安倍首相はクラスター対策班が中心となった専門家会議からの提言を受ける形で新型コロナウイルスの感染拡大に伴う5月6日までの緊急事態宣言を延長ことが確実視されています。
「行動変容」を専門家会議は求めていますが、これは「生活様式や価値観を根底から変えろ」と強制していることと同じです。しかも、経済そのそもに致命的な影響を与えることは確定的であり、民主党政権の比ではないでしょう。
専門家会議の一部有識者がイスラム革命で国を指導することになった宗教指導者と似た立場で君臨し、日本経済を破壊し尽くす疫病神と化すのは時間の問題と言わざるを得ないでしょう。
緊急事態宣言を出す要因(の1つ)になった「R0=2.5」の算出根拠を示せ
まず、厚労省クラスター対策班が成果を上げているのは「クラスター(=集団感染)対策」です。それ以外は専門外です。
特に問題なのは「緊急事態宣言を出す要因として利用した算出根拠を示せてないこと」です。
北海道大学の西浦博教授は「流行対策開始前までは R0=2.5 で患者数が増加する」と主張し、それが4月22日に発表された状況分析・提言(PDF)の中で言及されています。
なぜ、問題かと言いますと「(1人の患者が何人の患者を発生させるかを示す数値である)R0 がなぜ 2.5 であると算出されたかの理由に一切言及されていない」のです。これは分析として論外と言わざるを得ないでしょう。
算出根拠がなければ、「R0=1.1」でも「R0=3.7」でも成り立ってしまいます。しかも、厚労省の専門家会議は算出根拠すら明らかにしていないのです。
ちなみに、東京都では R=1.7 (3月21日〜30日)だったことが4月1日付で発表された状況分析・提言(PDF)で発表されています。
西浦教授は以前から「R0=2.5」を主張し、それを根拠に緊急事態宣言を出されたのですから、計算根拠を示すことは専門家として最低限の責務と言えるでしょう。それができないなら、即座に辞任すべきです。
「4月以降に記録された R」についての数値を公表する責務が専門家会議にはある
専門家会議と言っても主要メンバーは「クラスター対策班」です。彼らには「クラスター対策のできる範囲の新規患者発生数の中に収めたい」という強い動機があることに留意しなければなりません。
少なくとも、4月以降に記録された R (=実行再生産数)の数値を公表することが条件でしょう。
- 東京都での R の数値
- 3月21日〜30日: 1.7
- 4月1日〜10日: ?
- 4月11日〜20日: ?
- 4月21日〜30日: ?
発表資料で言及されていた「10日ごとの R」でも、未言及の「1週間ごとの R」でも問題ありません。要するに、「R の値が専門家会議が警鐘を鳴らしていた数値に近づいていたか」を確認する必要があるのです。
「R=2.5」で1週間ほど新規患者数が急増しているのであれば、緊急事態宣言を駆使するなど経済に『急ブレーキ』をかけることは理解できます。しかし、そうではないなら、『軽めのブレーキ』に対応を改めなければなりません。
「R<1」の場合は緊急事態宣言を継続すること自体が愚行となるのです。手元にあった情報を基にどのような判断を下したのかは『国民の知る権利』の範囲内です。経済活動にも大きな影響があるのですから、少なくとも前回判断に利用した情報は公開されるべきと言えるでしょう。
「(感染症対策に当たる) “西浦師” の教えに沿った生活様式に改めよ」という『新型コロナ革命』
これからの日本で起きるのは「イランのイスラム革命」でしょう。日本の場合は新型コロナウイルスの感染拡大を封じ込めるための教えを伝える西浦博教授らが “師” となり、日本国民はそれに従った生活を送ることが求められるようになります。
「8割減を達成しなさい」と言われたら、それは絶対命令です。生活が困窮する国民が増えたとしても、二の次です。
民主党政権は東日本大震災後に『1ミリシーベルトまでの除染』と『脱原発・再生可能エネ推進』で日本経済に大きな悪影響を及ぼしました。前者は無用な公共事業、後者は年間5兆円の無駄な支出となっています。
現状で安倍政権は『新型コロナ革命』を容認し、2020年4月の1ヶ月間で日本経済は急ブレーキがかかりました。感染症対策の専門家は「感染症による死者数の絶対値を低くしたい動機がある」ため、緊急事態宣言の継続を強く求めるでしょう。
その結果、民主党政権下での経済損失を2020年の1年で記録したとしても何の不思議もありません。
新型コロナウイルスへの対応に注力するあまり、一般病院の経営状況が虫の息であることを忘れていないか
余談ですが、外出自粛要請は病院経営にも大きな影響を及ぼしています。平成30年度の病院経営定期調査(PDF)で経常利益が赤字だったのは 53.8%。半分以上が厳しい状況に置かれています。
もともとの厳しい経営状況に加え、コロナ禍で来院者数が減少。その収入減少分の埋め合わせを求める声が病院側から出ていることがニュースなる状況です。
- 勤務医
- コロナ患者を受け入れている病院
- 感染症対応が可能な呼吸器科
- 担当医師らは超過勤務で倒れる寸前
- 医療用具の不足が現実味
- コロナ患者を受け入れられない病院
- 外科・皮膚科・精神科など
- 患者が来院を自粛したため、収入激減で経営が傾く
- 医療用具はあるが絶対数は少ない
- コロナ患者を受け入れている病院
- 開業医
- 自分の病院を持っている医者
- お金持ちのイメージの源泉
- 日本医師会の見解を反映していると言われている
新型コロナウイルスの最前線にいるのは感染症病床がある期間病院の勤務医で、間違いなく激務です。しかし、それ以外の一般的な病院は患者が来院を自粛しているため、診療報酬が得られず、経営状況が悪化してしまっています。
そのため、経営に行き詰まって倒産する一般的な病院が続出することが現実味を帯びています。
にもかかわらず、日本医師会は緊急事態宣言の存続を要求しています。これは医師会で政治活動をするのは時間と資金に余裕のある医師で、開業医が中心だからです。
診療報酬を得る必要性の少ない医師は患者が来院を自粛してもそれほど困りません。だから、政治活動をする余裕が生まれるのです。これは(政治活動に熱心な)日弁連の上層部と同じ構図にあると言えるでしょう。
“感染症対策の専門家” が感染症対策に「オールイン」させようとするのは珍しいことではありません。しかし、政治がそれに引っ張られると大きな代償を支払うことになります。
新型コロナウイルス以外の疾患に対してもハイリスクである高齢者に向けた対策を全国民に対して一律に要求しているのです。高齢者の延命に熱心な感染症対策の専門家に従うことで幸せになれる人は一部の例外に過ぎないことを踏まえる必要があると言えるのではないでしょうか。