「公営競技やパチンコを廃案する法案」は提出せず、IR法案にだけ反対する立憲民主党

 NHK によりますと、カジノを含む IR (=統合型リゾート施設)法案に反対の姿勢を採る立憲民主党が内閣不信任案を提出し、解散総選挙に持ち込むことで IR 法案を廃案にする考えを示したとのことです。

 この姿勢は欺瞞に満ちていると言えるでしょう。なぜなら、カジノ(= ギャンブル)に反対するなら、公営競技やパチンコにも反対しなければなりません。

 しかし、立憲民主党は「IR 法案だけに反対」している状態なのですから、矛盾に陥ることになっているのです。

 

 カジノを含むIR=統合型リゾート施設の整備に向けた法案について、立憲民主党の枝野代表は党の会合で、廃案に追い込むため安倍内閣に対する不信任決議案の提出も視野に追及を強める考えを示しました。

 立憲民主党が『IR 法案』に反対する理由として掲げた内容は既存の “公営ギャンブル” にも適用しなければなりません。

 それをしていないから、「パフォーマンス」と批判される事態を招いているのです。少なくとも、公営競技やパチンコも禁止する法案を提出しなければ、理屈に合わないという現実を認識する必要があるでしょう。

 

ギャンブル依存症のほとんどはパチンコ・パチスロ

 厚労省が2017年度に行った面接調査で「ギャンブル依存症の疑われる状態になった人は全国に320万人いると推計される」との中間報告をまとめたと日経新聞など各メディアが2017年9月に報じています。

  • 対象:20~74歳の1万人
  • 有効回答数:4685人分
  • 過去にギャンブル依存症が疑われる状態になった人:158人 (3.6%)
    • 男性:6.7%
    • 女性:0.6%
  • 直近1年のギャンブル経験から依存症が疑われる人:32人 (0.8%)
  • パチンコ・パチスロに最もお金を使った人:123人 (2.9%)

 立憲民主党の辻元清美議員は「ギャンブルなど論外」との姿勢で IR 法案を批判していますが、それならばギャンブル依存症を最も発症させていることが濃厚であるパチンコ・パチスロにも同様の姿勢を示すことが必須です。

 ところが、そのような動きは皆無に等しい状況なのです。明らかにダブルスタンダートと言えるでしょう。

 

「『IR 法案』を廃案に追い込む」と主張するなら、公営競技およびパチンコも法律で禁じなければならない

 立憲民主党のように、「『IR 法案』を廃案に追い込む」と主張するのであれば、ギャンブル依存症を生み出しているパチンコ・パチスロなどに対しても同様の措置を講じなければなりません。

 しかし、そのような動きがないのです。

 なぜ、カジノはダメでパチンコや公営競技(=競馬・競輪・競艇)は問題ないという論理が成り立つのでしょうか。

 野党が反対する大きな理由は「依存症」であり、これはカジノ固有の問題ではありません。依存症患者を理由にするなら、既に多数の依存症と疑われる人物を生み出す原因となっているパチンコなどを制限する法案を提出しなければ、理屈に合わなくなります。

 これまでに立憲民主党など野党は『パチンコ規正法』や『公営競技制限法』といった法案を提出したことはありません。もし、提出していれば、そのことを踏まえた主張を繰り広げているはずだからです。

 

 立憲民主党は『IR 法案』に反対する前に、既存のギャンブル依存症を生み出したパチンコや公営競技に反対であると行動で示さなければなりません。

 まずは “馬主” として有名な小川敏夫・参院議員(現・立憲民主党常任顧問)を除名すべきでしょう。競馬のような公営競技もギャンブル依存症患者を生み出してきた原因の1つだからです。

 「新たな依存症患者を生み出すこと」に大きな懸念を示す立憲民主党が “依存症患者を生み続けているギャンブル” を放置することなど論外です。『IR 法案』の廃案を主張するのであれば、パチンコや公営競技についても制限を設ける法案を提出すべきと言えるのではないでしょうか。