「財源なき分配強化」を主張する民進党の参院選公約

 民進党が公式サイト上で参院選に向けた選挙公約を発表しました。

 「人への投資」を強調していますが、安倍政権への対案としては内容が乏しく、具体性に欠けるものとなっています。党内が一枚岩でないことが物足りなさを感じる要因と言えるでしょう。

 

 公約の主張内容が抽象的であり、説得力を持ちません。「ふつうの人から豊かになる経済」とタイトルに記載していますが、民進党の考える “ふつうの人” とは具体的にどういった層を指すのでしょうか

 大企業で働く人でしょうか、それとも中小企業で働く人でしょうか。どの雇用形態を “ふつう” と見なしているのでしょう。

 民進党が “ふつう” と見なさなかった層に対する政策は実行する責務は生じないのですから、この点は明らかにしなければなりません。もし、うやむやにしたままであれば、票を投じるに値しない政党と判断する必要があります。

 

 次に政策内容に矛盾が生じています。「チルドレン・ファースト、子ども第一」と「シニア世代の安心を守る」の項目で主張することを実行するには無理があります。

 

  • チルドレン・ファーストでの主張内容
    1. 保育園・幼稚園勤務者の月給を5万円アップ
    2. 給付型奨学金を創設
    3. ひとり親家庭の子供支援
    4. 保育・医療などの自己負担を軽減
  • シニア世代の安心を守るでの主張内容
    1. 年金のかさ上げ、受給資格を拡大
    2. 年金積立金を安全に運用
    3. 医療・介護の自己負担を軽減
    4. 介護職員の給与引き上げ

 いずれの項目も国からの助成額をアップすることが公約として盛り込まれています。ですが、国の財政を圧迫している要因が年金や医療などの社会保障費なのです。

 この現実から目を背けるような公約しか掲げない民進党の “約束” など信用する価値すらありません。削減するどころか、給付範囲の拡大を約束する有様なのですから、財政再建をする気がないと見られても無理はないでしょう。

 社会保障の財源に赤字国債で賄うと主張する岡田代表の発言が疑問視されるのは当然のことです。

 

 また、「政治家が男女同数になることを目指す」と主張していますが、男女比はほぼ同数で、平均寿命は女性の方が長い日本の現状を考えると、女性有権者の方が多いと言えるでしょう。

 その多数派である女性からの信任を得られない政治家を国会議員に選出する理由は存在しません。女性の声は選出された政治家が代弁するのですから、女性の政治家を増やせば良いというロジックにはならないのです。

 政治家としての資質に問題のある女性議員を国会に送り込むことこそ、明らかなムダなのです。ムダを生み出す温床を作りたい民進党の姿勢を支持するのは、国会議員になりたい女性活動家ぐらいでしょう。

 

 地域経済を立て直すという主張内容も「自由に使える補助金を国から出す」というものや、「今回のTPP合意には反対」という問題のある無責任なものです。

 与党・自民党が苦戦する沖縄のように地方自治体が自由に使える補助金を与えたいのでしょう。ですが、他人の資金なのですから、不要なハコモノ建設をしたり、散財されることは目に見えています。

 地域が自分たちでお金を使いたいのであれば、道州制を導入し、自らの予算規模に合った地方政策をできるようにすべきなのです。補助金によって身の丈以上の予算を組むことができている現状を問題視せず、地方が自由に使える予算を与えようとする考えではプラスを生み出すことはないでしょう。

 TPPについても同じです。「今回は反対」というのはどういう意味でしょうか。TPPそのものに対する姿勢を明確にしていないのですから、「安倍政権の手柄となる今回のTPP合意には賛成できない」と主張していることと違いはないと言えるでしょう。

 

 安全保障関連法も「白紙に戻す」と明記していますし、憲法9条改正には反対しています。中国海軍の軍艦が領海内に侵入する事件があったにもかかわらず、このような政策を掲げたままで良いと考えているのでしょうか。

 自らが進むべき方向すら具体的に定められない政党に国政の決定権を委ねたいとは思いません。

 左派でまともな感性を有しているのは自民党・左派として活動する政治家ぐらいでしょう。残念ですが、野党には知性を感じるような政策もありませんし、具体的な政策立案能力も、実行力も見込むことができません。

 彼らにできることは有権者や国民に役立つ制度・システムの構築ではなく、日本を破壊することぐらいでしょう。民進党が約束している国民とは日本国民ではなく、中国・韓国といった特定アジアの国民なのではないでしょうか。