立憲・枝野代表が政策面での協議を求める国民民主党に「立憲民主党の政策を受け入れよ」と要求、多様性を語るリベラルの本性を現わす

 会派結成を模索する立憲民主党の枝野代表と国民民主党の玉木代表が会談したものの、考え方の隔たりが浮き彫りになったと NHK が伝えています。

画像:枝野代表と玉木代表の会談を伝えるNHKニュース

 このニュースで問題視されるべきは『多様性』を訴えるリベラルの枝野代表が「立憲民主党の政策を理解した上での合流」を要求していることでしょう。対話による解決策の模索を否定する形となっており、リベラルの本音が現れる形となっています。

 

 立憲民主党の枝野代表がさきに、国民民主党の玉木代表に対し、憲法改正やエネルギー政策などの党の政策に理解を求めたうえで、衆議院の会派に加わるよう提案したことを受け、15日、両代表は改めて会談しました。

 会談で、玉木氏は参議院も含め、対等な立場での統一会派の結成を求め、政策の方向性などを協議したいなどと回答したのに対し、枝野氏は「提案に対する答えになっていない」として、再回答を要求しました。

 

『対話』の選択肢がリベラル派から消えていることは痛すぎる

 立憲民主党と国民民主党はどちらも民進党(= 民主党政権)にルーツを持つ国政政党であり、合流の話が出ることは不思議ではありません。

 ただ、“合流に至るプロセス” には細心の注意を払う必要があるでしょう。なぜなら、「対話が重要」と主張し、安倍政権を批判しているからです。

  • 立憲: 党の政策を理解した上での会派入り(≒ 合流)を要求
  • 国民: 政策協議を要求。対等な統一会派の結成を希望

 この状況で「立憲民主党が掲げる政策を認めて合流せよ」との態度を採ることはマイナスに他なりません。自分たちが「話し合い」を拒んでいるのですから、強硬な姿勢を採る安倍政権を批判する資格はないと言わざるを得なくなってしまうからです。

 

多様性を主張しながら、「立憲民主党の価値観しか認めない」との態度を示すことは矛盾である

 リベラルを志向する政党は『多様性』を掲げ、政治的に異なる意見を持つ政党・政治家・個人を批判します。しかし、自分たちは『多様性』を兼ね備えていないことを棚に上げているのです。

 「異なる価値観を認めろ」と主張するなら、『立憲民主党とは異なる国民民主党の価値観』を尊重しなければなりません。

 したがって、国民民主党が要求する「政策の方向性についての協議」を受け入れることがリベラルの責務です。ところが、枝野代表は「(立憲に合流するという)提案への答えになっていない」と批判する有様です。

 これはリベラルとは真逆の立場です。日本の自称・リベラルが主張する「異なる価値観を認めろ」は「有権者の多数派に支持されなかった我々の意見を採用しろ」という意味に他なりません。

 「一部のリベラルが勝手に定義した価値観のみが許される」のは単なる『原理主義』です。イスラム過激派は『イスラム原理主義』が “教典” であり、『リベラル原理主義』も同じ問題を抱えていると認識する必要があると言えるでしょう。

 

「民主党が再結成されること」と異なる点は存在するのか

 立憲民主党と国民民主党が国政で行動を共にすれば、会派の形態に関係なく「民主党が再結成された」と見なされるでしょう。なぜなら、民主党に所属していた国会議員らが再結集したこととの違いが分からないからです。

 「民主党の左派勢力が代表の座に着いた」との評価が適切ですし、「民主党・菅政権の “失政” を何ら総括・反省をしていない」との厳しい批判が浴びせられることも想定している必要があります。

 “お家騒動” との揶揄が封じるには「政策」と「実行力」が問われるのですが、前回の民主党政権が大失敗する原因となった点への反省を怠っている時点で無党派層から見放されている現状を変えるまでには至らないでしょう。

 『野党第1党』のポジションを確実にするために野党間での駆け引きが本格化している限り、自民党が一人勝ちの状況は続くと言えるのではないでしょうか。