夜の街での感染予防ためのガイドラインを策定したところで、違反への罰則規定がなければ新型コロナなどの感染症が拡大するだけ
NHK によりますと、政府は夜の街で新型コロナウイルスの感染拡大が増えていることからガイドラインを策定することで対策を進める考えとのことです。
しかし、これは効果が得られないでしょう。なぜなら、ガイドラインを守らなかった場合の罰則がない(と考えられる)からです。
「風営法を改正して感染症蔓延時には封鎖を命じることが可能」としない限り、感染拡大に歯止めをかけることは困難と言わざるを得ないでしょう。
30人以上の新たな感染が確認された東京について、政府は、濃厚接触者の特定を進め、拡大防止を図るとともに、接待を伴う飲食店関係者の感染も増えていることから、専門家と業界関係者による感染予防のガイドラインの策定を後押しし、対策を進める考えです。
ガイドラインは「努力目標」に過ぎない
(風俗店など)夜の街での感染症の拡大を抑制したいのであれば、『ガイドラインの策定』では不十分でしょう。なぜなら、ガイドラインは「努力目標」に過ぎないからです。
- 発熱や咳のある人の来店は遠慮してもらいましょう
- 手洗いや共有部分の消毒は忘れずに
- 接客時は(可能なら2mの)距離を保つように
上述のようなガイドラインがあったとしても、それを守る義務はありません。あくまでも『目標』であり、違反をすると罰せられる性質のものではないからです。
真面目な人は「要請」でも守ってくれますが、夜の街では「要請」が無視されるから困った状況になっているのです。努力目標に過ぎない『ガイドライン』を発表しても、行政がガイドラインを守って欲しいと思う店舗は鼻で笑うだけであることを認識する必要があるでしょう。
定石は「風営法を改正して該当の店舗群に閉鎖命令を出せるようにする」こと
夜の街にある風俗店で蔓延する感染症を封じ込めるために有効なのは「風営法を改正すること」でしょう。
改正の内容は「感染症の蔓延時に都道府県知事は風営法によって営業が許可された店舗の営業停止を命じることができる」との『権限』を行政当局に付与し、その一方で「命令対象となった店舗は過去の納税額から算出された補償金を得る資格を有する」との『救済』も用意しておけば良いのです。
“脱税王” であるキャバクラなど(の大部分)は現状では救われないでしょう。しかし、納税の義務を果たしていれば、営業停止命令を受けても「補償を得られる権利」が法的に約束されているのです。
正攻法で感染症対策を行うことに価値を見出す国会議員がどれだけいるかがポイントと言えるでしょう。
「感染症の蔓延」を理由に夜の街をロックダウン可能なら、「合法的に夜の街を潰すことも可能」という問題が生まれる
『風営法の改正による夜の街の封鎖』を可能にすると、夜の街を合法的に潰すことが可能になるという問題があります。なぜなら、感染症は新型コロナウイルスだけではないからです。
例えば、(感染報告数が増加している)梅毒は夜の街(≒風俗店)を中心に感染が現在も発生しています。感染研が発表している動向報告には「直近6か月以内の性風俗産業の従事歴および利用歴」で症例が場合分けされており、これを根拠に『封鎖』を命じることは不可能ではありません。
感染症の定義は「国への報告が義務付けられた疾患」になるでしょうから、少なくとも梅毒は入ることが濃厚です。しかも、新型コロナウイルスよりも「風俗店が感染拡大に寄与している」と言える根拠があるため、壊滅的な影響を夜の街に与えることになるでしょう。
一方で、行政側も『解除』の基準を定めていないと風俗店など夜の街への補償が半永久的に続くことになってしまいます。「補償できる範囲内」でしか『封鎖』を命じることは困難ですから、“引き際” を事前に決めておくべきと言えるでしょう。
政治の出番であり、正面から取り組むことができる本物の政治家がどれだけいるかだと言えるのではないでしょうか。