EU の欧州議会が本会議で日本との EPA を承認、2019年2月1日の発効が確定する

 日経新聞によりますと、日本と EU との経済連携協定が12日に EU の欧州議会で承認されたとのことです。

 日本は国会で承認が済んでおり、EU 側の承認待ちの状態でした。欧州議会が承認したことにより、協定が正式に発効することになりました。消費者は恩恵を受けることになるでしょう。

 

 欧州連合(EU)の欧州議会は12日、仏ストラスブールで開いた本会議で、日本とEUの経済連携協定(EPA)を賛成多数で承認した。日本は8日に国会承認を済ませており、2019年2月1日の発効が固まった。世界の国内総生産(GDP)の合計の約3割、世界貿易の約4割を占める巨大な自由貿易経済圏が誕生する。

 『TPP11』が12月30日に発効することに続き、EU との自由貿易協定である『EPA』も発効することが正式に決定しました。

 日本の消費者は「ヨーロッパの農産物」に課せられていた関税が削減・撤廃されることで恩恵を受けることができます。また、ヨーロッパ側の関税も削減・撤廃となるため、輸出の追い風になることが期待されます。

 

チーズやワインの国内市場に「競争の原理」が持ち込まれる

 EU との経済連携協定(EPA)によって関税が大きく変化するのは以下の項目です。

画像:EPAで関税が削減・除外されるもの

 日本ではワイン、パスタ、チーズといった農産物の関税が削減・撤廃に向かいます。「国内農業の保護」を理由にした反対がありますが、その代償は「他国と比較して高価格」という形で消費者が支払っているのです。

 高い参入障壁を理由に “あぐらをかき続けることができる状況” は好ましいとは言えません。そのため、国内の消費者に選ばれないような農家や酪農家が淘汰される仕組みが導入されるのは止むを得ないと言えるでしょう。

 

『TPP11』と『EPA』の正式発効は『アメリカとの二国間協定交渉』で利用できる

 『TPP11』に続き、欧州議会が承認したことで『EPA』も正式に発効することになりました。これは将来的なことを見据えると大きなメリットとなるでしょう。

 なぜなら、日本はトランプ大統領の意向を受けて『アメリカとの二国間経済協定』の締結に向けた交渉が控えているからです。

 この協定が発効されない限り、アメリカの農家は EU やオーストラリア・ニュージーランドの農家よりも関税の分だけ日本市場で不利になります。しかも、「TPP に残っていれば、このような損害を被ることはなかった」という現実があるのですから、交渉時の材料として使えると言えるでしょう。

 また、『TPP11』や『EPA』はアメリカとの交渉が開始されると予想されている時点では発効済なのです。したがって、それらの経済協定の内容を上回る譲歩は必要ない訳ですから、『TPP11』と同じ条件の二国間協定の妥結を日本政府は目指すべきなのです。

 

日本酒など海外市場へ輸出しやすくなる商品も存在する

 日本では農業分野が「過剰なほどの保護」を受けていたため、関税撤廃に対するアレルギー反応が起きています。

 ただ、補助金漬けであることは否定できず、補助金の出所は税金なのです。そのため、農家に対する同情論が国民の多数派を形成する可能性は低いと言えるでしょう。

 要するに、農業にも「一般市場での競争」が持ち込まれたに過ぎません。日本の国内市場にいる消費者の大部分は日本人ですし、日本の農家もほとんどが日本人です。

 同じ文化や価値観の環境で育ったという利点が持っているにも関わらず、「安い」という理由だけで消費者から選ばれないのであれば、補助金を投入する意義は極めて少ないと言わざるを得ません。方向転換を決断しなければならないと言えるでしょう。

 日本国外にも消費者はいるのですから、商品の価値を認めてくれる消費者のために生産する意識を持つことの重要性が現在よりも飛躍的に高くなる時代が到来したと言えるのではないでしょうか。